確定利付の融資出資(一部融資)SPOT●政策的必要性が高く、かつ、 償還確実性のある事業●長期・固定・低利での資金供給●政策的必要性が高く、リターンが期待 できるものの、リスクが高く民間だけ では十分に資金が供給されない事業図表11 財政融資と産業投資図表12 令和4年度財政投融資計画及び実績実績3,4861,148「確実かつ有利」(財政融資資金法1条)「リスクマネー」政府保証当初計画改定計画11,2001,180実績8507,2001,180財投債有利子負債財政投融資特別会計償還財政融資資金勘定配当金など過去の投資の果実など財政投融資特別会計投資勘定貸付回収出資リターン(出所)財政投融資リポート(出所)財政投融資リポート財政融資資金産業投資財政融資当初計画改定計画11,01010,247産業投資当初計画改定計画実績9,09210,247850850市 場NTTJTなど国際協力銀行(JBIC)4,010国際協力機構(JICA)5,237JBICが自分で社債(財投機関債)を発行して資金調(JT)などの株式を持っていることから配当を受けJBICには産業投資部分の金額がありますが、JICAにJBICには、「民業補完」と「収支相償」という原則がと、両方だと思います。産投(産業投資)出資の額は必要に応じて決まります。服部:財政投融資における「産投(産業投資)」という概念が出てきたので、この点を整理します。JBICがお金を借りて海外で活動したいといった時に、達をすることができるのだけど、それだと国債に比べて金利負担が大きくなってしまいます。そこで、財務省がグループ・ファイナンスみたいな感じで、代わりに国債を発行してあげて、財務省が国債発行で得たお金を低い金利でJBICに貸してあげる。これが財政投融資における「財政融資資金」と呼ばれるものです。財政投融資では、財務省がNTTや日本たばこ産業取っており、その配当の範囲に限り、リスクをとっていいという運用を行っています。これが「産業投資」と呼ばれる部分であり、JBICについては、この範囲でリスクを取っているわけですね。ちなみに、JBICとJICAにおける財政投融資計画の実績をみると、はないことが分かります(図表11)。津田:神田(2021)にも書いてあるんですけど、あるんですね。収支相償とは、簡単に言えば、損益を通算して、損をしてはいけませんよということです。また、償還確実性も業務の原則です。2016年まではすべてのプロジェクトに償還確実性が求められていましたが、2016年に特別業務勘定という独立した勘定を作って、その勘定全体では償還確実性を担保するのですが、個別のプロジェクトではもう少しリスクとっていいよという仕組みができました。それで最近更なるリスクテイキングが少しできるようになったというところです。財政投融資、産業投資は両方、理財局、すなわちストックを所管している部局が審査しています。JICAの出資金は一般会計で主計局が査定しますから、担当部署も違います。先程おっしゃった、「民業補完」というのは重要な概念で、民業圧迫になってはいけない一方で、新しいこと、インパクトがあることをやる時はJBICが民間の企業の方と積極的に対話をして、面白いビジネスオポチュニティを探していかないといけません。服部:神田(2021)には、JBICについて、上記以外についても、例えば、ポストコロナの政策である「ポストコロナ成長ファシリティ」の成長や、日米豪連携の促進、さらに、具体的な支援事例も紹介しているため、そちらも参照していただければ幸いです。後半に続く 20 ファイナンス 2024 Dec.
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