SPOT 開発途上国投資近年の主な取組み政府との一体性財務の健全性発行実績情報発信⚫2024年度の有償資金協力業務は、2兆2,800億円の規模を見込んでいます⚫財源は、債券発行や政府からの借入による外部資金のほか、自己資金(元利回収金等)の一部を新規出融資に充ててSDGs/ESG※カッコ内は2024年度当初予算ベース(単位:億円)※カッコ内は2024年度当初予算ベース(単位:億円)※ 有償資金協力業務とそれ以外の業務は、経理を区分し、別勘定で管理しています(JICA法第17条)※有償資金協力業務とそれ以外の業務は、経理を区分し、別勘定で管理しています(JICA法第17条)国債(財投債)23図表8 有償資金協力業務における財政投融資の活用津田尊弘課長に聞く、国際金融と経済協力(出所)JICA元本償還・利払途上国向け出融資元本・利息回収投機関債などの負債(デット)でファンディングしていると理解しています。すでに説明しましたが、「財政融資資金」とは、財政投融資制度を通じたファンディングです。一方、財投機関債とは、JICA独自で発行する債券であり、社債に相当するものです。図表8がJICAの有償資金協力のための資金をどのようにファンディングしているかを図示したものです。全体の金額が約2.3兆円であるところ、財政投融資が1.6兆円であり、その主軸であることがわかります。この次に、自己資金である5,000億円があり、財投機関債が800億円と続きます。津田:途上国への有償資金協力の元手は、政府が出資をしたうえで、当該出資金を下に行うJICA自身の借入が加わります。単純化して話しますと、例えばレバレッジが4倍だとしたら、1億円出資をしたら3億円の借入を行い、4億円の有償資金の元手になるというイメージです。無償資金に関しては、無償で渡すということなので、1億円を外務省がJICAに入れたら、1億円を途上国に出す。もちろん事務費・運営費などが引かれますが、ざっくり言うと1対1対応ですね。服部:先ほどの一般会計の部分ですが、税金で入ってきた収入を財務省による予算査定を経て、外務省へ流れていくということですね。津田:そうですね。無償資金や技術協力の予算であれば、財務省主計局が外務省予算として査定を行います。有償資金勘定の方は財務省国際局が要求官庁なのている国もあります。服部:JICAやJBICがバイでの役割、世銀などはマルチでの役割という議論があり、マルチの議論については後半に議論できればとおもうのですが、上述の内容は、例えばADBを通じて実現する、あるいは世銀を通じて実現するという経路もありますよね。それに対してJICAやJBICは、それらとの比較の観点で整理するとどのように比較されますか。津田:やはりJICAとかJBICは日本の機関ですので、日本政府の政策に近く、日本の顔が見えるといったメリットがあります。他方、世銀やアジア開発銀行は、マルチの機関ですので、日本政府の言うことだけを聞くわけではなく、あくまで一株主として影響力を行使することになりますが、グローバル又はリージョナルに大きなインパクトを産み出すことができます。どちらか一方のほうが優れているということではなく、場面に応じて、使い分けている感じですね。服部:神田(2021)ではあまり焦点を当てていなかったのですが、マクロ全体の資金の動きも確認したいです。JICAによる無償資金協力の場合は、その資金は一般会計からだしますよね。津田:はい、そうです。服部:有償資金で出す場合は、もちろん出資部分もありますが、その大部分が、財務省を経由したファンディングである財政融資資金に加え、政府保証債、財います有償資金協力業務の資金フロー(2024年度資金計画)出資金(485)財政融資資金借入金(14,770)財政投融資(16,420)政府保証外債(1,650)(米ドル建て、グローバル市場)財投機関債(800)(円建て、国内市場)自己資金等(5,095)貸付金元利受収入等一般会計特別会計財政投融資計画債券市場円借款・海外投融資事業規模(22,800)マクロ全体でみたJICAへの資金の流れ予算:事業規模・資金計画(有償資金協力業務)ファイナンス 2024 Dec. 17
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