□SPOT図表3 バイ開発金融機関(DFIs:Development Financial Institutions)Credit Agency, ECA)と呼ばれます。例えば、日本Finance Corporation)という組織もあり、こちらはJICAのカウンターパートに当たるかと思います。中服部:図表4は、神田(2021)に記載されている開発途上国に対する資金の流れを整理したものですが、この図をみるとまず、「ODA」があります。ODAとは、「Official Development Assistance」の略であり、政府が途上国に対して提供する資金援助や技術協力を指します。一方、図表4の右上に位置していますが、ODA以外の政府資金として、OOF(Other Official Flow)があり、これは「政府開発援助以外の政府資金」と呼ばれるものです。ODAについて、2国間援助と他国間援助があり、バイの援助がJICA、マルチの援助が世界銀行などの国際開発金融機関(MDBs)です(MDBsについては後述)。一方、JBICはOOFと位置づけられます。あと、図表4で重要なのは、右下に「民間資金(Private Flows, PF)」および「民間非営利団体による贈与(Private Grants)」もある点です。民間資金は、民間企業によるクロスボーダー取引(国境を超えて行う取引)などです。「民間非営利団体による贈与」は例えばNGOによる援助であり、これらも開発途上国に対する重要な資金です。金額という観点では民間資金のプレゼンスが圧倒的に大きい点も重要です。この点について数字を確認しておきます。図表5が、「ODA」、「OOF」、「民間資金」、「民間非営利団体による贈与」について数字で確認したものですが、ODAは全体の15.9%、OOFは5.6%にとどまり、開発途上国に対する資金の8割程度は民間資金であるということが分かります。いてどういうイメージを持っていますか。学生:JBICが融資をしていて、JICAが開発とかボランティアとかをしているイメージです。津田:まずJICAからご説明します。おっしゃるとおりJICAは開発機関ですので、途上国に対して、開発を目的に融資や無償資金を提供しています。青年海外協力隊なども聞かれたことがあると思います。一方、JBICは、専門用語で、輸出信用機関(Export 企業がどこかの国に融資や直接投資をする時に、そういう日本企業に対して融資をしたり、あるいは、民間銀行と一緒に協調融資を行ったりすることで取引をやりやすくする。つまり、途上国を助けたいという目標ではなくて、日本企業の海外進出等の、特定の政策目標を達成するために作られた機関です。世界中にこういう機関はたくさんあります。例えば、ドイツにはKfWという機関がありますし、アメリカはEXIM bankという輸出信用機関がありますが、これらはいずれもJBICのカウンターパートです(KfWはJICAのような開発機関としての側面も有しています)。他方、アメリカでいえばDFC(Development 国も、輸出入銀行というのが、JBICと似たようなことをやっていますね。 14 ファイナンス 2024 Dec.発展途上国に対する資金の流れバイ開発金融機関(□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□)
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