SPOT*1) 神田眞人(2024)「図説 ポストコロナの世界経済と激動する国際金融」財経詳報社*2) 植田健一・服部孝洋(2024)「国際金融」日本評論社(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、および世界銀行(世「ファイナンス」をご参照ください。JICA、JBIC、および世銀などについて、できるだけ2024年7月、東京大学で筆者の服部が担当する科目において、津田尊弘課長に国際金融をテーマにご講演をいただきました。その中で、国際協力機構銀)など国際開発機関についてご説明をいただきましたが、この内容は学生にとって関心が高いものの、良い入門書がないと感じていました。そこで東京大学政策評価研究教育センター(CREPE)で実施しているインターンシップに参加している学生も交え、津田尊弘課長に、国際金融という観点で、JICA、JBIC、世銀などの国際機関の概要をお聞きしました。本稿は、神田眞人編著「図説 ポストコロナの世界経済と激動する国際金融」(以下、神田(2021))*1のうち、「経済協力」を取り扱っている7章と合わせて読むことで、国際金融や経済協力の基礎知識が得られるように工夫しています。このテーマに関心がある読者は、植田・服部(2024)「国際金融」*2など、他の文献も読み進めていただければ幸いです。なお、本稿は前半部分をまとめた前編となります。後編は翌月号の服部:これまで「ファイナンス」において、私が政策担当者にインタビューすることで実際の政策の理解を高めるという試みをしています。最近、私の講義のゲストとしてお越しくださった津田尊弘課長に、「国際金融と経済協力」というテーマで意見を聞かせていただこうと思っています。特に、本稿は読者として政策に関心がある若手職員や学生を想定しているため、具体的な話をお聞かせいただければ幸いです。まず、津田課長が入省して以降のキャリアについて教えていただけますでしょうか。津田:私が入省したのは平成13年で、今から20数年前になります。大学の学部が法学部だったこともあり、入省してから最初の7、8年は、法律に関する仕事に携わることが多かったように思います。最初に入った部署も法令審査や国会関係にかかわる課でしたし、2年のイギリス留学をはさんで、帰国後に配属された関税局でも、その直後の法務省への出向でも、主に法令に関する仕事に従事しました。ただ、留学の2年目にビジネススクールでファイナンスを勉強する機会を得て、国際金融市場のダイナミズムに対する興味は強く持ち続けており、ご縁があって、法務省出向の後にIMF(国際通貨基金)という国際機関に出向する機会をいただきました。具体的には、金融資本市場局という部門に配属されましたが、こちらは(やや専門的な用語ですが)資本市場のサーベイランス(政策監視)を行う部署でした。IMFはマクロ経済に関する国際機関ですので、日々の金融市場の動きを追いかけるというよりは、金融市場の動向がマクロ経済に与える影響等を調査するのが仕事でした。IMFには3年間いて、2013年に財務省に戻ってきて以降は、主計局での2年間の経験を除けば、基本的には国際金融・経済開発に関する職務に従事してきました。国際局で最初に配属されたのが調査課というところで、日中や日韓のバイラテラル(2カ国間)の協調や、ASEAN+3におけるアジア債券市場の育成などを担当しました。「ASEAN+3」といっても、学生の皆さんは聞いたことがないという方も多いかもしれませんね。「+3 10 ファイナンス 2024 Dec.本インタビューの目的はじめに国際局開発機関課 津田 尊弘/東京大学 服部 孝洋津田尊弘課長に聞く、国際金融と経済協力―JICAおよびJBIC編―
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