ファイナンス 2024年11月号 No.708
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控除関係医療費ふるさと納税社会保険(国民年金保険料・国民年金基金掛金)生命保険地震保険iDeCo(個人型確定拠出年金)小規模企業共済掛金住宅ローン控除関係マイナポータル連携の対象収入関係給与所得の源泉徴収票※公的年金等の源泉徴収票株式の特定口座年間取引報告書※「給与所得の源泉徴収票」の情報が自動入力の対象になるためには、お勤め先(給与等の支払者)が税務署にe-Taxで給与所得の源泉徴収票を提出していること等の要件があります。 4 ファイナンス 2024 Nov.「マイナポータル連携」は、マイナンバーカードを利用してe-Taxを行う際、マイナポータルを経由して、申告に必要な収入や控除に関するデータを一括取得し、申告書の該当項目に自動入力することができる機能だ。医療費控除やふるさと納税に係る寄附金控除にも対応しており、医療費の集計や各種収入・控除を入力する手間が大幅に削減される。非常に利便性が高く、これを利用しない手はない、といっても過言ではない。マイナポ―タル連携の利用者は年々、増加傾向。導入から4年目を迎えた令和5年分の確定申告では、同機能の利用者は190万人にも上っており、注目度の高さが窺える。マイナポータル連携は前述のとおり、令和2年分の年末調整・確定申告手続きから導入された機能だ。冒頭に紹介した「税務行政の将来像2023」では、今後、税務の分野においては、確定申告に必要なデータ(例えば、給与や年金の収入金額、医療費の支払金額など)を納税者が個別に入力することなく、自動的に申告データに取り込むことで、数回のクリックやタップで確定申告が完了する「書かない確定申告」(日本版記入済み申告書)の実現を目指している。マイナポータル連携機能の導入や導入以降の累次にわたる対象データの拡大の取組は、まさに税務行政の将来像の実現に向けた一環として位置付けられている。マイナポータル連携を利用して自動入力の対象となるデータは、生命保険料控除証明書を皮切りに、これまで、ふるさと納税に係る寄附金控除のデータや医療費通知情報、公的年金等の源泉徴収票や株式の特定口座年間取引報告書などに対応。令和5年分の確定申告からは、新たに、確定申告人員の過半数を占める給与所得者向けに、国税庁に「法定調書」としてオンラインで提出された給与所得の源泉徴収票のデータの自動入力が実現している。この点について、国税庁個人課税課は、「元来、『法定調書』は、国税当局において申告内容と事後的に突合し、申告内容の適正性を担保するためのツールとして位置付けられてきたもの。今回実施した、給与所得の源泉徴収票のデータの自動入力は、国税当局が保有する法定調書の情報を申告時に納税者に対して還元する初めての試みであり、『申告納税制度』の下で納税者がより簡単・便利・正確に自己申告することを可能とするだけでなく、申告誤り等の結果として事後的に是正されるリスクの軽減、更には当局の事務処理の効率化など官民双方のコスト削減に資するもの。今後とも、納税者利便の更なる向上を目指して、取組を進めていくこととしている。納税者の皆様に、ぜひ、マイナポータル連携をご利用いただき、その便利さを体験していただきたい。」と語る。現在、マイナポータル連携の対象データは図のとおりとなっており、一般的なサラリーマンが医療費控除や寄附金控除などの適用を受けるために確定申告を行う場合には、マイナポータル連携を利用することで、申告に必要な大半の入力が自動化されるため、「書かない確定申告」が概ね実現しているように感じられるケースも多いことだろう。なお、マイナポータル連携を利用するためにはマイナポータル等で事前準備が必要となる。事前準備は最初の1回のみの手続きであり、翌年以降の申告では、新たに取得するデータが増えない限り、原則、あらためて事前準備を行う必要はない。次頁では、サラリーマンの申告の例を用いて、<1>事前準備から<2>申告の流れを解説する。マイナポータル連携でデータを自動入力・自動計算!

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