ファイナンス 2024年11月号 No.708
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図表2:ログフレームの概略ashx)のP.16(Box.8)及びP.48を参照。Outcomes Evidence”がある。(出典)IMF(2024b)*6) https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/PP/2022/English/PPEA2022001.ashxを参照。*7) プロジェクト概要は、JSA年次報告書2023(https://www.imf.org/-/media/Files/capacity-developement/jsa-annual-reports/jsa2023.*8) IMFで蓄積されたRBMデータに基づく分析では、Antonio Bassanetti(2021)“When Does Capacity Development Achieve Good 74 ファイナンス 2024 Nov. 3 3 RBMの運用RBMの主要なツールは、能力開発の計画策定段階に設定されるロジカル・フレームもしくはログフレーム(図表2参照)です。これは、能力開発のインプット(投入)、つまり、財政的資金及び人的資源が、どのような活動(対面・遠隔での会議=ミッション。IMF本部職員による短期・長期専門家の活動の後方支援=バックストップ。)に充てられて、どのようなアウトプット(技術支援報告書や研修実施)になり、最終的には開発効果がどの程度あったのか測定するまでの一連のフローを体系立てたものです。IMFに限らず、各援助供与機関も、プロジェクトの完遂までのフローを体系立て、実施過程でのモニタリング、プロジェクトの事前・事後評価を実施していますが、各機関の実施する支援の性質等により、対象範囲やそのスコープ(国レベルで見るのか、個々のプロジェクトで見るのか等)は異なってきます。IMFではRBMの対象を能力開発に限っており、その他の業務、融資等には適用していません。またIMFの能力開発は、道路の建設や衛生環境の改善等ではなく、公共財政、通貨金融制度、マクロ経済枠組み、統計、法的枠組み、包摂性と格差、気候変動への対応等といった各分野(ワークストリーム)に沿って支援が提供されます。実際に能力開発を提供するIMFの機能局は、個々の内容を踏まえ、目標(objectives)、成果(outcomes)、指標(indicators)、マイルストーン(milestones)を設定します。例えば、A国に対して「税務行政機能の強化」を目標として、「納税義務の順守率の改善」という成果を出すことを想定し、特定の指標「期限内申告」等を設定することで、その達成度を評価することが出来ます。能力開発の実施過程で定期的にモニタリング(少なくとも1年に1回、4段階評定を実施)し、その結果を踏まえ、必要に応じログフレームの変更を行うなど、柔軟に対応することが求められます。例えば、IMFは、日本支援プロジェクトを通じて、ラオスにおける歳入行政・歳入動員の強化に向け、関税・税務担当者間の協力、付加価値税(VAT)の管理等に関する助言・フォローアップを行っており、RBMに基づく情報はCD Dissemination Policy*6に沿って、パートナー国・機関(ここでは日本)とも共有され、説明責任を果たすことに貢献しています*7。こうした情報は、今後の他のプロジェクトでより開発効果を高めるための参考として、活用されることが見込まれます。また、個々の項目の設定において、共通の言語を用いる事で、同様のプロジェクト間で評価・比較分析することが可能となります。IMFで能力開発を実施する部局は、定期更新されるRBMカタログ上に登録されている目標等を、各プロジェクトに応じて当てはめています。IMFにRBMが導入され、2022年以降にログフレームを通して能力開発活動が測定された国は170以上にもなります。年々高まる能力開発へのニーズに対して、限られたリソースをもとに、期待する開発効果を達成していくために、RBMは効果的なツールとして活用できます。例えば、能力開発の実施手法の違いが当局に対してどのように効果・インパクトを長期的に与えているのかについて、有益な情報を与えてくれます*8。実際に能力開発を提供する機能局に加えて、地域を管轄する地域局に在籍するカントリーチーム

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