我が国のAPG共同議長就任について ファイナンス 2024 Nov. 195.結び本稿では、FATFにおいてアジア・太平洋地域をカバーするAPGの概要やAPG共同議長としての我が国の取組方針、APG総会の模様を中心に紹介した。マネロン等対策には、グローバルな対策強化が不可欠である。我が国としては、今後2年間にわたるAPG共同議長としての立場も最大限活かしつつ、関係省庁間で一層の連携を取りながら、地域的・国際的なマネロン等対策強化に向けた議論を引き続き主導していく方針である。我が国もAPG共同議長として、来年8月下旬目途に東京でAPG総会を開催することを計画している。今次総会でも、最後に梶川審議官が次回総会のアナウンスに加え、共同議長としての抱負を語るとともに、日本を紹介する動画を放映し、参加者の期待は大いに高まった様子であった。この規模の国際会議の主催は一筋縄ではないが、地域のマネロン対策等に関する議論を前に進めるとともに、我が国の魅力をアピールする格好の機会としても活用すべく、関係者で協力しながら準備を進めていきたいと考えている。ちなみに、総会は、各種作業部会・本会合(Plenary)だけでなく、バイ面談のほか、マネロン等対策強化に向けて技術支援の提供者と受け手をマッチングするための会合なども連日開催され、出張中は体力勝負となる。特に今回は、現地時間の日付が変わった頃に到着し、そのまま翌日午前中から会議が始まった。その後も、日の出前(朝5時頃)にお祈りの時を告げるアザーンがホテルの部屋にも聞こえるほど大音量で流れ、会場を一歩出れば40度近い暑さに見舞われる一方、会場内はスーツでも肌寒いほどに冷房が効いているなど、国際交渉には体調管理も重要であることを改めて実感した。さらに一部出張者は、ホテルのトイレ天井から水漏れが発生するハプニングに見舞われ、修理を行ってもらうも、その作業でさらに水浸しとなったトイレがそのまま放置される一幕もあった(修理を行ったスタッフは「もう大丈夫」と言い残し去っていったが、滞在最終日、再び同じ事象が発生した)。こうした事態にも動じず、円滑に出張業務を遂行するには、トラブルも含め場数を重ねていくことが欠かせない。
元のページ ../index.html#23