議場で次期共同議長としてプレゼンする梶川審議官UAEの国鳥でもあるファルコンをモチーフとした記念品(https://apgml.org/news/details.aspx?pcPage=1&n=7224)。*2) アブダビ総会の様子は、以下APGのHP参照 (1)次期相互審査の円滑な開始(2)域内マネロン等対策強化に向けた国際協力次に、域内マネロン等対策強化に向けた国際協力である。特に、マネロン等対策が進んでいない法域の中には、能力・リソース不足のほか、FATF基準に関する理解が不十分なケースもあり、支援を必要としていることも多い。こうした背景を踏まえ、我が国は、地政学的観点からも重要性を増している太平洋島嶼国や、マネロン等対策の進捗が芳しくない法域を中心に、APGを通じた支援、言わば国際協力に重点を置くこととした。具体的には、現地当局向け研修等を通じた能力構築や、ハイレベルなコミットメントを求め(3)金融分野における新技術への対応 18 ファイナンス 2024 Nov.FATF及びFSRBにおける現下の最重要課題の一つが、次期相互審査とその準備である。FATFは、環境変化に応じた基準改訂等を進めながら、累次の相互審査を通じ、マネロン等対策の実効性向上に努めてきた。特に、本年夏から開始されたFATF第5次(APGは第4次)相互審査では、法令等ルールの整備状況のみならず、官民におけるマネロン等対策の実効性・有効性が問われるほか、よりタイムリーに各国の実施状況を評価すべく、全体の審査期間が6年(前回は10年)と短縮されている。すなわち、APG加盟法域にとっても、被審査法域としての態勢整備や対応強化はもとより、審査側の立場でも審査員派遣準備などが喫緊の課題となっている。我が国も、年内に東京で審査員養成研修を主催するなどし、域内専門家の育成に貢献する方針である。るためのAPG共同議長等による政府高官等との面談を通じた対応要請などを進めていく方針である。最後に、金融分野における新技術への対応である。新技術の普及はメリットや機会につながる一方、同時にそれがもたらす新しいリスクにも目配りが必要である。マネロン等の文脈でも、グローバルに見ると暗号資産業者への規制対応等が進んでいない法域も多く、官民における理解深化や関連する基準実施の後押しが急務となっている。この点、我が国はFATFで暗号資産等の作業部会をリードしてきた立場も活用しつつ、域内に経験や知見を積極的に共有できる強みがある。APG共同議長としても、暗号資産を含む金融分野における新技術への対応について各種研修イベント(例:ワークショップやウェビナーなど)を開催するほか、他のFSRBとも連携しながら官民対話の場などを提供していく方針である。4.アブダビAPG年次総会の様子APGは加盟法域数が最も多いFSRBであるほか、数十名の代表団を組成して参加する法域などもあり、その年次総会は、総勢500名規模に及ぶ大規模な国際会議となる。今年は9月下旬にAPGのオブザーバー国であるUAEによりアブダビのエミレーツ・パレスで開催された*2。会合冒頭にはホストのUAEによるオーケストラ演奏のほか、歴史を紹介する映像が流れるなど、主催国の趣向も凝らされるのがAPG総会の特徴である。
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