202320212017新規/短期/信用金庫20192015201320112009新規/短期/地方銀行Ⅱ全銀協TIBOR 1M20052023長プラ20212017新規/長期/信用金庫20192015201320112009新規/長期/地方銀行Ⅱ2005*1) 厳密にはICR=(営業利益+受取利息・配当金等)÷(支払利息、社債利息等)だが、本分析においてはデータ制約の都合上、ICR=(営業利益÷支*2) 令和6年4月2日、第3回経済財政諮問会議議事要旨を参照。*3) 資金繰り判断D.I.=「楽である」とした回答金融機関構成比 ―「苦しい」とした回答金融機関構成比*4) 貸出態度判断D.I.=「緩い」とした回答金融機関構成比 ―「厳しい」とした回答金融機関構成比*5) 貸出運営スタンスD.I.=「過去3ヶ月間において、「企業向け(規模別)」、「個人向け」の貸出運営スタンスをどのように変化させたか。」を主要銀行にヒアリングしたもの。(「積極化」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや積極化」とした回答金融機関構成比)―(「慎重化」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや慎重化」とした回答金融機関構成比)払利息)と定義している。(%)3.02.52.01.51.00.50.0▲0.520032007新規/長期/地方銀行日本政策金融公庫(5年以内、基準金利)(出所)日本銀行「貸出約定平均金利」「貸出先別貸出金」、財務省「国債金利情報」、日本政策金融公庫「中小企業事業(主要利率一覧表)」、全銀協TIBOR運営機関「全銀協TIBORレート」短期貸出平均約定金利長期貸出平均約定金利5年国債10年国債1.はじめに2.金融環境の長期的な変遷前 大臣官房総合政策課 日沖 駿介大臣官房総合政策課 倉又 廉/本野 大幹/大村 直人/横山 修平本稿は、中長期的な金融環境の変遷について述べた上で、企業財務がどのように変容してきたかについて論じる。帝国データバンクのアンケート調査によれば、金融環境の変遷は、支払利息の増減や物価の変動などプラスの面とマイナスの面の両方があるように見受けられる。具体的には、企業の債務償還能力に与える影響に着目した。分析に用いたデータおよびベンチマークについて、データは法人企業統計の個票データ等を、ベンチマークは営業利益を支払利息で割ったものであるインタレスト・カバレッジ・レシオ(以下「ICR」という。)を用い*1、短期的な利払い能力を確認し、また中長期的な借入力を分析するために借入金を総資産で割った借入金依存度を見ていく。なお、企業財務は個別性がかなり高いため、金融環境の変化より企業財務全体にどういう影響があるかということを包括的に捉えることは難しいのであるが、企業規模別・産業別に分析することで、個別性を一定程度考慮している。まず、金融環境の長期トレンドについて説明する。貸出約定金利の動向については、中小企業の主な借入先と考えられる地域金融機関の貸出金利は量的・質的金融緩和のもと、長期短期ともにこれまで低下傾向で推移してきた。近年、中長期の国債金利は上昇しているが、金融機関の貸出態度の指標である長期貸出平均海外経済の潮流 152金融環境の変遷と企業財務に関する分析 78 ファイナンス 2024 Oct.約定金利への影響は限定的であるということが示唆されている。また、2024年3月のマイナス金利解除の前後では、住宅ローンや中小企業向け融資の基準金利となる短期プライムレート(短プラ)について、足元では変化がなかったことが、日銀より説明されている*2。【図表1】金融環境の動向(%)3.02.52.01.51.00.50.0▲0.520032007新規/短期/地方銀行短プラ政策金利資金繰り判断DI*3については、リーマンショック及びコロナ禍において二度悪化したものの、足元は緩和基調で推移していることが確認できる。貸出態度判断DI*4は、リーマンショック時から緩和傾向にあるものの、足元については、緩和基調のトレンドに鈍化が見られる。また、貸出運営スタンスDI*5は振れを伴いつ
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