ファイナンス 2024年10月号 No.707
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1円銀貨(明治7(1874)年:直径38.53mm、量目26.96g)「大日本」表記の50銭銀貨(左/明治4(1871)年銘:直径32.14mm、量目12.05g)と「日本政府」表記の50銭黄銅貨(右/昭和21(1946)年銘:直径23.55mm、量目4.59g)コインの世界につれてって!〜収蔵庫からこんにちは 奥深いコインの世界〜造幣局が製造したグリコのおまけメダル(「乃木将軍」(左:直径22.78mm、量目3.73g)及び「リス」(右:直径22.82mm、量目3.78g))ファイナンス 2024 Oct. 67 〈明治時代から現在まで造られているコインには、「日本」の国名表記が3種類ある〉現在流通しているコインには、「日本国」と表記されていますが、時代をさかのぼると違った表記がされています。明治時代に初めて造られたコインには「大日本」と表記されていました。「大日本」という表記は、第二次世界大戦まで続きます。終戦直後は、コインの模様にもGHQ(連合国総司令部)が介入し、その頃発行されたコインには「日本政府」と表記されています。その後、昭和22(1947)年5月3日に施行された日本国憲法の中で「日本国」という名称が用いられるようになり、昭和22年に造られた50銭黄銅貨には「日本國」の表記が用いられるようになりました(現在は「日本国」と表記)。〈造幣局では、グリコのおもちゃ(おまけ)を造っていたことがある〉コインではありませんが、造幣局のトリビアとして一つご紹介いたします。子供のころに一度は食べたことがある「グリコ」。甘いキャラメルとともに、どんなおもちゃが入っているかワクワクしたことがあると思います。『グリコグループ100年史』によれば、牡蠣に含まれる栄養素グリコーゲンを子供の健康に役立てようと生まれたグリコは、大正11(1922)年2月、三越大阪店で販売を開始しました。創業者江崎利一は、子供は遊ぶことと食べることが天職という持論から、おもちゃを入れる発想があり、当初は資金も乏しいことから子供が好きそうな絵カードなどを添えたりしていたそうです。本格的におもちゃを封入したのは、昭和2(1927)年でしたが、昭和4(1929)年に本体の箱と一体化させたおもちゃ小箱を考案し、グリコの人気を決定的なものにしました。様々なおもちゃを採用する中で、特に人気を集めたのが豊臣秀吉や西郷隆盛など歴史上の人物を刻印したメダルでした。江崎利一は、民間業者の価格や品質に満足できず、昭和5(1930)年、これを造幣局に依頼しました。当初30万個で申し込むと、あまりの数の多さに、担当者から疑念を抱かれ、保証金を入れて注文することになったそうです。メダルは良質な仕上がりで人気になり、最終的には60万個を発注、コストも大幅に削減できたと言われています。〈鳥の名前が通貨の単位になっている国がある〉中央アメリカの北部にあるグアテマラの通貨単位は、「ケツァール」です。このケツァールとは、もともとは、メキシコ南部からパナマの山岳地帯に生息する鳥のことで、古代アス

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