当館所蔵イギリスの2022年銘貨幣セットより。2022年まで発行されていたこれらのイギリスの流通貨幣全貨種6枚の裏面を所定の位置で並べると、イギリスの紋章が浮かび上がる。なお、2023年にチャールズ3世国王が戴冠したことから改鋳が行われ、今では国王の自然保護への熱い思いを反映した動植物の図柄が用いられている。日本の造幣局も製造したことがある20テトリ貨幣(左:表面、右:裏面、ステンレススチール製、直径25mm、量目5g)。当館所蔵クロアチアの2023年銘貨幣セットより。クロアチアは2023年からユーロを導入した。この50セント黄銅貨(2023年銘:直径24.25mm、量目7.80g)には、同地で生まれた、発明家でエンジニアの二コラ・テスラ(1856-1943)の肖像がデザインされている。〈10円貨のギザは7年間だけ〉(6)いくつ知ってる? コインのトリビア 66 ファイナンス 2024 Oct.ここからは、本展で取り上げた、日本及び海外のコインにまつわる様々なトリビアを抜粋してご紹介したいと思います。現在通用している10円貨は、昭和26(1951)年から製造が始まりました。デザインは現在と同じで、表が平等院鳳凰堂、裏が常盤木ですが、当時は縁にギザがありました。ギザは、明治時代の金貨や銀貨につけられていました。これは、偽造防止や周りを削り取られないようにするためなどの理由から付けられるようになったものですが、第二次世界大戦後に一番高額なコインにギザがつけられるという慣習ができたといわれています。昭和26年には、10円の額面が一番高額であったためギザがつけられました。しかし、昭和30(1955)年には50円が、昭和32(1957)年には100円が登場し、それぞれギザがつけられたため、紛らわしいことなどから10円貨のギザは、なくなりました。〈明治時代に造られたお金の中には、英語が刻まれているものもあった〉明治4(1871)年に定められた「新貨条例」では、金貨を本位貨幣とし、補助貨幣として銀貨と銅貨を製造すること、また、十進法が採用され、単位が円・銭・厘と定められました。さらに当時、アジア地域の貿易では、主に銀貨が使われていたことから、1円金貨とは別に、海外貿易用として使用するための1円銀貨を製造することも定められました。貿易で支払うことを目的に造られたため、額面や品位、量目は英語で刻まれています。しかし、市場では、メキシコドルが多量に流通していたため、期待したほど使用されず、明治11(1878)年からは、貿易だけでなく、国内でも流通するようになりました。
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