財務総合政策研究所の令和5(2023)事務年度の活動についてプロフィール渡部 晶(わたべ あきら)前・財務総合政策研究所長1963年福島県生まれ。87年京都大学法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。福岡市総務企画局長、財務省大臣官房地方課長、内閣府大臣官房審議官(沖縄政策担当)、沖縄振興開発公庫副理事長、財務省大臣官房政策立案総括審議官等を経て、財務総合政策研究所長をもって2024年7月に退官。早稲田大学現代政治経済研究所特別研究所員。出身の福島県いわき市の応援大使を務める。地域活性学会及びデジタルアーカイブ学会員。2024年3月放送大学大学院修士(学術)。学習院大学法学部政治学科非常勤講師(2024年度前期)として特別演習「政策過程分析I」を担当。「月刊コロンブス」(東方通信社)で書評コラムを掲載中。2024年10月より日本経済新聞社が発行する地域情報専門誌「日経グローカル」で月1回「地方財政を俯瞰する」を寄稿。松江城天守閣にてフレディと。*25) これまでの筆者の財務省広報誌ファイナンスへの投稿については、国立国会図書館の、財務総研のHPホームページアーカイブを参照されたい。 https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13720521/www.mof.go.jp/pri/summary/cv/watabe.html 44 ファイナンス 2024 Oct.もって、退官させていただいた。この間、広報的な仕事に携わる機会も多かったが、遺憾ながら、我が国の財政をめぐる状況について十分に世の中で理解を深めることはできなかった。今後もこの問題については、私人の立場からも試行錯誤を続けてまいりたい。なお、令和6(2023)事務年度において、筆者は、これまでの自分のキャリアに鑑みて、地方にあるシンクタンクとの交流を試みた。地域に根ざした課題の調査研究や提言活動に携わる全国のシンクタンクが、地方シンクタンク相互の交流を深めることにより、地域における政策研究の質的向上をはかり、地域の自立発展に寄与することを目的に昭和60年に設立された任意団体として「地方シンクタンク協議会」が存在する。ここには、北海道から九州までのシンクタンクが参加している。このうち、一般財団法人アジア太平洋研究所、一般財団法人関西情報センター、公益財団法人中国地域創造研究センター、公益財団法人徳島経済研究所、公益財団法人九州経済調査協会を訪問し、相互の活動内容の紹介、今後の交流の可能性について、現地に赴いて意見交換を行った。財務総研が令和4(2022)事務年度に開催した「生産性・所得・付加価値に関する研究会」報告の概要を説明したところ、強い関心が示された。このような状況を踏まえ、今回の「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」報告については広報を強化したものである。財務総研の研究成果については各方面に広く知られることは、大変有意義と考える。費やせる資源には限りはあるものの、これまで培ってきた様々なネットワークを活用して、研究成果の周知に取り組んでいくことを今後とも期待したい。平成23(2011)年から思い立って、毎年、自分のした仕事について、本誌に寄稿するということを続けてきた*25。今回で最後の寄稿となる。21世紀に入り、ますます混沌とした状況で、実務を担う職員の皆様のご健康とご健勝を祈念して、筆をおく。鶴岡将司・前財務総合政策研究所総務研究部総括主任研究官(現大臣官房総合政策課データ分析調整室長)には、本稿の完成において全般にわたりコメントを頂いたことに深謝したい。ただし、本稿で、ありうべき誤りなど文責は筆者にあり、意見にわたる部分は筆者個人の見解である。
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