ファイナンス 2024年10月号 No.707
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*22) 「財務総研で実施している統計調査」財務省広報誌ファイナンス2024年7月号 https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f10_33.pdf(5)財政史の編纂・図書館の運営(1)修史事業としての「財政史」 42 ファイナンス 2024 Oct.(6)統計調査の作成・公表*22平成3(1991)年12月ソ連の解体に伴い、多数の独立国が誕生するとともに、旧ソ連の対外資産・債権・債務の処理がG7での大きな課題になったことから、日本も中央アジア諸国との交流が深まった。その中で、平成8(1996)年からウズベキスタン金融財政アカデミー(BFA)への知的支援(セミナーへの受入等)が始まった。アジアとヨーロッパ、ロシアと中東を結ぶ十字路に当たる中央アジア地域の情勢は、ユーラシア大陸全体の安全保障環境に大きく影響するため、テロなどの脅威や周辺諸国との関係を始めとするこの地域の動向は、日本はもとより国際社会全体の大きな関心事項となってきているという。財務総研としては、これまでの取組みを振り返りつつ、重要性を増したこの地域への知的支援で貢献することは大いに意義があるものと思われる。また、日本政策金融公庫国民生活事業と連携する形で約20年にわたり中小企業金融支援を実施している。令和5(2023)年からは、カンボジア中小企業銀行(SME Bank of Cambodia(以下、「SME Bank」))に対する支援に取り組んでいる。「財政史」は、財務省の行政の事績を政策の分野別に期間を区切って編纂した史録である。その編纂は、財務省の行政の正確な記録を遺し、財務省の行政の企画、立案、また一般の学術研究の参考の用に供することを目的としている。「財政史」はこれまで、『明治財政史』シリーズから『平成財政史-平成元~12年度』シリーズまでが刊行された。現在、平成13(2001)年度以降を対象とする平成財政史を編纂中である。歴史書を編集することは、たいへんな労力がいることを改めて認識したが、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」との使命に鑑みても必要不可欠の事業であると考えられる。正確な財政史を後世に残すためには編纂体制が重要となる。財政学等の有識者の方々に執筆や監修に参加いただくとともに、実際に業務に携わった元職員や職務に精通した現役職員が内容の正確性を期すために確認を行うなど、財政史が刊行されるまでにはたいへんな労力をかけているのである。(2)図書館の運営約17万冊の図書を所蔵している。前述のように、国立国会図書館の支部図書館でもある。国立国会図書館法は、その目的(第2条)に「国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。」とあり、「行政への図書館奉仕」にも目配りされている。そして、第七章に「行政及び司法の各部門への奉仕」の各種規定があるが、前述のように、デジタル化で様々なサービス改善が進む中、あまり進展がみられない領域と感じている。財務総研では、我が国の経済活動の主要部分を占める企業活動の実態を把握し、経済財政政策立案の基礎資料等として利用するために、「法人企業統計調査」と「法人企業景気予測調査」の2つの企業統計調査を実施し、結果を集計・公表している。財務総合政策研究所の調査統計部が、財務(支)局・財務事務所、内閣府沖縄総合事務局(以下、「財務局等」)と協力して作成している。統計の信頼性を高めるための、回収率の向上などに財務局等の力は欠かせない。特に、量的には、本社が集中する関東財務局東京事務所との密接な連携は欠かせない。このため、これらの統計作成にかかわる企業や財務局等が前向きに取り組めるような作成プロセスの効率化・円滑化や分析資料の提供(還元)などが課題である。平成15(2003)年度から運用している「法人企業統計等ネットワークシステム(以下FABNET:Network System of Financial Statements Statistics and Business Outlook Survey)」が統計調査で重要な役割を担う。FABNETを改善しながら、オンライン調査

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