ファイナンス 2024年10月号 No.707
45/108

財務総合政策研究所の令和5(2023)事務年度の活動についてファイナンス 2024 Oct. 41*18) 2024年6月25日に崔相穆(チェ・サンモク)韓国経済副総理兼企画財政部長官と鈴木俊一財務大臣との間で開催された第9回日韓財務大臣級対話において、以下のとおり財務総研とKIPFとの覚書の締結を歓迎することが示された。〜「10.両大臣は、6月20日に韓国租税財政研究院(KIPF)と日本財務省財務総合政策研究所(PRI)の間で覚書(MOI)が署名されたことを歓迎した。本MOIを通じて、KIPFとPRIは両国にとって共通の関心事項についての研究成果を共有する。両大臣はまた、将来、研究機関の間での更なる協力を模索することにも合意した」*19) 岩間陽子「時評2023 今こそ日韓エリゼ条約を」中央公論2023年9月号 中央公論新社。*20) 第31回 財政経済セミナーを開催しました *21) 2023年度 中央アジア・コーカサスセミナーの実施 https://www.mof.go.jp/pri/international_exchange/technical_cooperation/sep2023.htmlhttps://www.mof.go.jp/pri/international_exchange/technical_cooperation/scacc2023.html(4)海外研究機関との研究交流・知的支援(1)研究交流KIPFとの間で覚書(MOI)を締結し、共同活動を通じて協力関係を発展させることに合意した*18。写真2参照(写真2)(KIPF MOF署名)キム院長との署名後のMOI披露の模様筆者としては、岩間陽子・政策大学院大学教授(国際政治学)が指摘するように*19、独仏のエリゼ条約のように、日本と韓国が様々な問題をかかえつつも、それと並行しての交流を地道に息長く実施していくことが両国の今後のためにたいへん有意義だと考えており、今後の進展にも期待したいところである。(2) 知的支援(開発途上国の財務省等の若手幹部候補生の受入研修、中小企業金融支援)これまで、財務総研では、平成4(1992)年から、アジアの開発途上国向けに「財政経済セミナー」*20、平成18(2006)年から、ウズベキスタン等の中央アジア諸国向けの「中央アジア・コーカサスセミナー」を開催してきた*21。写真3(写真3)2023年中央コーカサスセミナー閉講式ることには意義があると思います。他方、時間をかけられるテーマについては、1~2年かけてじっくりと分析をすれば良いと思います。」(吉野)などの貴重なご意見を頂くことができて有意義であった。財務総研では、中国(財政科学研究院(CAFS)、国際経済交流センター等)、ベトナム(財政省財政研究所(NIF))、インド(インド国際経済関係研究所(ICRIER)、インド応用経済研究所(NCAER)と交流をしてきた。韓国とは、二国間の交流実績には乏しいきらいがあった。財務総研は、2006年度から、韓国対外経済政策研究院(KIEP:Korea Institute for International Economic Policy)、中国社会科学院(CASS:Chinese Academy of Social Sciences)との間で締結した覚書に基づく日中韓3ヵ国ワークショップの開催を通じて、韓国の研究機関との交流を行ってきた。また、平成4(1992)年から平成25(2013)年までの間で、韓国企画財政部職員7名を客員研究員として受け入れてきた。他方で、日韓の研究機関二者間の交流は行われてこなかった。韓国は、隣国かつアジアにおける数少ないOECD加盟国として民主主義の価値観を共有する先進国である他、日韓両国は、米国との外交・防衛上の面から強固な結び付きがある。また、財務トラックでも、昨年6月に7年ぶりに日韓財務対話が東京で再開されるなど関係を強化している。こうした中で、在韓国日本大使館を通じて、KIPF(韓国租税財政研究院:Korea Institute of Public Finance)が韓国有数の政府系シンクタンクとして、税制、財政政策等を研究の柱としており、財務総研と研究分野が重なる部分が多く、研究交流先の候補になり得るのではとの助言を得た。このような流れの中で、事務年度末になるが、6月20日、筆者、川本総務課長以下4名でKIPFを訪問して、

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る