国家公務員等の旅費制度の見直しについて(政令編)ファイナンス 2024 Oct. 27 等、引越し業者、クレジットカード会社を規定する。このため、これらの者が各府省等との間で旅行役務提供契約を結び、当該契約に従ってこれらの者が旅行者に旅行に係る役務等を提供した場合には、各府省等は、旅行者に対する旅費の支給に代えて、旅行役務提供契約に基づき、旅費に相当する金額を直接これらの者に支払うことができるようになる。一方で、旅費法施行令の検討に際しては、新設政令でありながらも既存制度との接続に配慮する必要があるという点で、政策的・法制的な困難を多く抱えていた。旅費法施行令を新設するための旅路の途中では、進むべきレールを見失い、暗礁に乗り上げ、乱気流に巻き込まれるなど様々な困難に直面したこともあったが、多くの方々の理解と協力、助言を得ながら、長い旅をまた一つ終えることができた。こうした旅の過程にこそ価値がある。関係者には改めて感謝申し上げたい。旅費法施行令によって、旅費種目の内容の外延を画することはできたものの、宿泊費基準額など、具体的・細部的な事項は財務省令に委任することとしている。令和7年4月の円滑な施行に向けて、新旅費制度が迷いなく歩み始められるよう引き続き準備を進めていきたい。なお、省令が公布された際には、改めて、この場を借りて紹介させていただきたいと思う。※本稿内の意見に関する部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織の見解を表すものではありません。4.おわりに旅費法施行令では、旅費種目の内容もさることながら、その名称を含めて抜本的な見直しを行った。例えば、現行の「移転料」はいわゆる「引越し代」を意味するが、これを「転居費」と改めている。「移転料」と「転居費」の2つを比べてどちらの方が「引越し代」を連想しやすいかと問われると、後者と答える人が多いのではないだろうか。「移転料」に限らず、他の旅費種目の名称も長年使用されてきたわけだが、積み上げられた概念を壊すことも、制度を見直していく上では非常に重要だと考えている。
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