*6) なお、民間企業では、内国旅行における宿泊料の支給方法として、67.7%が実費支給(上限付き実費支給を含む。)としており、28.9%が定額支給としている。(財務省「民間企業の旅費規定等に関する実態調査」(令和5年)) 24 ファイナンス 2024 Oct.(イ)宿泊費等a.宿泊費(現行:宿泊料)〈概要〉は、上述の鉄道賃、船賃及び航空賃以外の交通費が対象であることを明確にするためである。〈現行旅費制度からの主な見直し内容〉現行の内国旅行における定額(1kmあたり37円)を廃止し、実費支給とする。路線を定めて定期運行する乗合バスの運賃については、一般的に利用が想定される公共交通機関に係る費用として推定されることからその額を支給することとする。また、それ以外の費用(タクシーの運賃その他の旅客運送に係る運賃、レンタカーの賃料その他の移動に直接要する費用及びこれらに付随する費用)については、旅行の実情に照らして公務上必要である場合には支給可能とする。宿泊費は、旅行中の宿泊について支給する。宿泊費の額は、実費額(上限付き)とする。〈現行旅費制度からの主な見直し内容〉宿泊費は、定額支給方式を改め、上限付き実費支給方式としている。現行の旅費法は、多くの旅費種目で定額支給方式を採用しているが、これは、旅費法制定時において、証拠書類の確保が困難であったこと、事務を簡素化する要請があったこと、定額を規定することで冗費の節約を図ろうとしたことが背景にあったと考えられる。しかしながら、国費の適正な支出という観点からは、旅費制度本来の趣旨である実費弁償の考え方に沿って、実費支給とすることが適当である*6。また、現在では証拠書類の確保が容易となっており、実際の運用においても領収書の確認が行われていること、業務プロセスやシステムの改善により事務負担の軽減が見込まれること、上限額の設定等により華美な宿泊施設の選定や無用な旅費支給の抑制が図れることから、実費支給とした場合にも大きな問題は生じないと考えられる。このため、今回の見直しでは、宿泊料は上限付き実費支給方式に変更している。上限額となる宿泊費基準額は、地域の実情や旅行者の職務を勘案して、財務省令で規定することとしている。具体的な水準については、実勢価格の調査を行い、その結果等を踏まえて適切な水準に設定することを検討している。なお、宿泊費基準額以内で宿泊できない場合であっても、現行の運用を踏まえ、財務省令で定める一定の条件下においては、宿泊費基準額を超えて実費額を支給することを可能とする。また、現行の宿泊料は、宿泊代金、夕朝食代及び宿泊に伴う諸雑費を賄うための旅費と解釈されているところ、今般、宿泊費を実費支給方式に変更することや、宿泊代金に夕朝食代が含まれない場合があること等を踏まえ、夕朝食代の掛かり増しを含む諸雑費は宿泊手当の内容に含めることとしている(後述)。b.包括宿泊費(新設)〈概要〉包括宿泊費は、移動及び宿泊が一体となったもの(いわゆるパック旅行)について支給する。包括宿泊費の額は、交通費の額と宿泊費基準額の合計額を上限として、実費額とする。〈現行旅費制度からの主な見直し内容〉改正前の旅費法は、移動及び宿泊が一体となったパック旅行を想定しておらず、パック旅行に係る旅費を請求するための旅費種目が規定されていなかったため、パック旅行の料金を宿泊料や航空賃等の旅費種目に振り分けて旅費請求書を作成するなど旅費請求に係る事務が煩雑となっていた。今般、パック旅行の利用が一般的となったことを踏まえ、パック旅行に関する新たな旅費種目を設ける。パック旅行は、移動と宿泊を別々に手配するよりも安価に旅行することを期待するものであることから、包括宿泊費の額は、交通費の額と宿泊費基準額の合計額を上限とする。c.宿泊手当(現行:日当)〈概要〉宿泊手当は、宿泊を伴う旅行に必要な諸雑費に充てるための費用として支給する。宿泊手当の額は、一夜当たりの定額とする。〈現行旅費制度からの主な見直し内容〉宿泊手当は、現行の日当を見直したものであるが、
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