ファイナンス 2024年10月号 No.707
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国家公務員等の旅費制度の見直しについて(政令編)ファイナンス 2024 Oct. 21 (1)旅費の種目及び内容国家公務員等の旅費に関する法律施行令(令和6年政令第306号。以下「旅費法施行令」という。)の内容を紹介する。冒頭で触れた旅費種目やその内容は、今般の旅費法改正を経て、新たに制定する旅費法施行令において規定されるとともに、経済社会情勢の変化に合わせた見直し等を行っている。2章及び3章では、旅費法施行令の概要と各規定の見直し内容を紹介する。旅費法施行令は、令和6年7月29日から8月27日にかけてパブリックコメントを実施した上で、9月20日に閣議決定され、同月26日に公布された。施行日は、旅費法改正に合わせて、令和7年4月1日としている。旅費法施行令は、改正後の旅費法第6条の委任(「旅行に要する実費を弁償するためのものとして政令で定める種目及び内容」)に基づき、旅費の種目及び内容を規定している。旅費の種目及び内容については、法定額と実勢価格との乖離の解消、実態・運用に即した規定の整備の観点から、現行の旅費法と比較して、主に、前掲の【図1】【図2】に掲げた見直しを行っている。これにより、旅費法施行令に規定する旅費の種目及び内容は、【図3】のとおりとなる。なお、改正前の旅費法は、内国旅費・外国旅費に章立てを分けて、旅費種目の内容を規定していた。しかしながら、旅行における本質的な差異は、内国・外国といった旅行先の差異ではなく、移動・宿泊・転居といった旅行形態の差異であると考えられる。このため、旅費法施行令では、内国旅費・外国旅費の章立てを統合した上で、(ア)交通費(移動に関連する費用)、(イ)宿泊費等(宿泊に関連する費用)、(ウ)転居費等(転居に関連する費用)、(エ)その他の種目、に区分して、旅費種目の内容を規定している。以下、上記の(ア)~(エ)に沿って、各旅費種目の概要と主な2.旅費法施行令の概要旅費法施行令は、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第22号)の施行に伴い、改正後の旅費法の委任に基づき、旅費の種目及び内容、旅行役務提供者の要件等を規定している。その概要は、【図1】【図2】のとおりである。3.旅費法施行令の規定内容見直し内容を紹介する。(ア)交通費a.鉄道賃〈概要〉鉄道賃は、鉄道及び軌道を利用する移動に対して支給する。鉄道賃の額は、運賃、急行料金、寝台料金、座席指定料金、特別車両料金及びその他の費用の実費額とする。また、運賃等級がある場合には、職階区分に応じて規定された運賃等級の額が支給額の上限となる。〈現行旅費制度からの主な見直し内容〉内国旅行における特別急行料金(座席指定料金を含む。)の支給について、現行の距離による制限(片道100km以上)を廃止し、旅行の実情に応じて公務上必要であれば支給できることとする。これは、特別急行列車の運行・利用が一般化・多様化し、経路検索により合理的・効率的な経路を選択できるようになった中で、距離により一律にその利用を制限する合理性は失われているためである。また、外国旅行においても、旅行の実情に応じて公務上必要であれば、座席指定料金を支給可能とする。さらに、鉄道の利用に際して手数料等(旅行代理店等による手数料を含む。以下同じ。)が発生し、それが旅行の実情に照らして公務上必要である場合には、当該手数料等を支給可能とする。なお、これまでは鉄道賃の対象は鉄道のみであったが、その対象を軌道(路面電車やモノレール等)にも広げている。これは、旅行者・経理担当者にとって、鉄道と軌道の区別がつきにくい場合も多く、その区別が実務上煩雑であったためである。b.船賃〈概要〉船賃は、船舶を利用する移動に対して支給する。船賃の額は、運賃、寝台料金、座席指定料金、特別船室料金及びその他の費用の実費額とする。また、運賃等級がある場合には、職階区分に応じて規定された運賃等級の額が支給額の上限となる。〈現行旅費制度からの主な見直し内容〉職階区分に応じた運賃等級について、等級区分の規定を合理化している。

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