ファイナンス 2024年9月号 No.706
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財務総合政策研究所 総務研究部 総務課長 川本 敦国際交流課課長 田畠 秀高同国際交流専門官 織田 史郎同企画調整係長 福本 満2. 日韓財務対話に向けたKIPFとの覚書締結に係る調整35 50 ファイナンス 2024 Sep.1.韓国との研究交流強化の背景財務総研は、2006年度から、韓国対外経済政策研究院(KIEP:Korea Institute for International Economic Policy)、中国社会科学院(CASS:Chinese Academy of Social Sciences)との間で締結した覚書に基づく日中韓3ヵ国ワークショップの開催を通じて、韓国の研究機関との交流を行ってきました。また、1992年から2012年までの間で、韓国企画財政部職員7名を客員研究員として受け入れてきました。他方で、日韓の研究機関二者間の交流は行われていませんでした。財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)は、途上国への技術協力の他、中国、韓国、インド及びベトナム等の研究機関との研究交流を行っています。足下では、日韓関係が改善される中、韓国の研究機関との交流強化に注力しています。今月のPRI Open Campusでは、財務総研のこれまでの韓国との研究交流の取組みを概観した上で、新たな交流先である韓国租税財政研究院(KIPF:Korea Institute of Public Finance)及び韓国国際金融センター(KCIF:Korea Center for International Finance)との関係強化の取組みを中心にご紹介します。韓国は、隣国かつアジアにおける数少ないOECD加盟国として民主主義の価値観を共有する先進国である他、日韓両国は、米国との外交・防衛上の面から強固な結び付きがあります。また、財務トラックでも、昨年6月に7年ぶりに日韓財務対話が東京で再開されるなど関係を強化しています。こうした中で、在韓国日本大使館を通じて、KIPFが韓国有数の政府系シンクタンクとして、税制、財政政策等を研究の柱としており、財務総研と研究分野が重なる部分が多く、研究交流先の候補になり得るのではとの助言を得ました。また、2023年12月に4年ぶりに東京で開催した日中韓ワークショップにKIPFの研究者が登壇し、少子化への政策対応について発表されました。財務総研の国際交流課職員が2024年3月に韓国・世宗市に所在するKIPFを訪問したところ、先方のキム院長から財務総研との関係強化に積極的な感触を得るとともに、財務総研がIMF財政局及びADBI(アジア開発銀行研究所)と共催する国際会議Tokyo Fiscal Forum(TFF)への参加にも前向きな返事を得ました。また、併せて訪問した韓国国際金融センター(KCIF)の院長からは、6月に開催される先方25周年の国際会議への登壇のオファーを受けました。6月25日の日韓財務対話(ソウル)を控える中、6月3日、川本総務課長と国際交流課はKIPFを再度訪問し、キム院長と研究交流促進のための覚書(MOI:Memorandum of Intent)の締結に向けた協議を行いました。その中で、双方にとって、MOI締結後の具体的な取組みについて協議を継続することが重要であるとの認識を共有しました。そして、6月20日、渡部所長、川本総務課長以下4名でKIPFを訪問して、KIPFとの間でMOIを締結し、共同活動を通じて協力関係を発展させることに合意しました。また、渡部所長とキム院長との個別面談、KIPF内の各種施設の見学ツアー、双方の活動紹介、今後の協力方針についての意見交換を通じて関係を深めることができました。韓国との研究交流強化

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