ファイナンス 2024年9月号 No.706
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Tabacの看板とともに、FDJ(宝くじ販売事業者)やPMU(場外馬券販売事業者)の看板も一緒に掲げられているタバコ屋は多い。なお、過去フランスでは、たばこ販売店の経営者らがたばこの値上げやたばこパッケージの変更に反対する抗議デモを行う際、道路や政党建物の前に自らのアイデンティティ(?)である人参を大量にばら撒くという行動に出たこともあったとのこと。キャロット型の看板の形や文字はお店ごとにそれぞれ異なり、タバコ屋の看板にも意識しながらパリの街を散策するのも楽しい。写真2:キャロットの形をしたタバコ屋の看板 パリの送金代理店 48 ファイナンス 2024 Sep.るテロリストやその支援者が、資金募集の目的や資金の最終的な受取人に関する情報、集めた資金の出所を仮装する等して、テロ資金を集めるツールとしてCrowdfundingプラットフォームを悪用しうるリスク要因を挙げ、それを防止するための取組例を提示している。Crowdfundingツールを利用する場面、それは決して特別なイベントやプロジェクトのためだけではなく、日常生活でもCrowdfundingプラットフォームが活用される場面はよくやってくる。例えば、職場で同僚が退職する際、餞別や送別品購入のための資金を同僚から募る。その際はcrowdfundingプラットフォームを利用し、ポットに集められたお金は、そのまま相手が好きな用途に利用できるようオンラインでポットにお金を入れたままプレゼントするか、fund raisingを呼び掛けた人が一部資金を利用してプレゼンを購入し、残金はそのまま譲渡することが多い。子どもが通う学校でもCrowdfundingプラットフォームの活用場面は訪れる。パリでは、クリスマスや一年が終わる際、先生に対して感謝の気持ちを込めてギフトを贈ることがあり、その際には、Crowdfundingシステムを利用して、クラスメイトの親同士で集金が行われる。また、特に幼児の場合、同級生みんなに声をかけ、子どものために誕生日会を盛大に開催することが多い。毎回、誕生日を迎えた子のために持ち寄るプレゼント選びに親は頭を悩ませることになるが、ある誕生日会では、その子どもの親御さんから、「プレゼントですが、我が家では○○(※誕生日を迎えたお子さんの名前)の誕生日にあわせ、ディズニーランドに行きたいと思っており、そのための資金を提供してくれたらうれしいです」と、fund raisingへの参加のお誘いの連絡が来た。こうした使い方もできるんだと気づかされるとともに、親として、誕生日会に参加するわが子に持たせるプレゼント選びに悩むことはないな、と少しほっとしたことがあった。タバコ屋と並び、ペイメントに関して私が気になるパリの街中のショップと言えば、フィリピン食材店でコラム2パリのタバコ屋さんオレンジがかった赤色のネオンが煌々と光るTabacの看板。パリの街を歩けば至るところで見かけるこの看板は、その目立つ色だけではなく、キャロットに似た愛らしい形ともあいまって、パリの景色を成す重要な存在であると感じる。1906年にフランス国内のすべてのたばこ販売店が、この看板を掲げることを義務付けられ、赤色でなければならないという拘束はないようであるが、明るい色でなければならないという決まりはあるようである。なぜ、フランスのタバコ屋の看板は、色も形もキャロットに似せた独特なものになっているのか。諸説あるようであるが、たばこの販売が拡大したフランス中世期、当時はたばこが葉っぱのまま売られ、それを噛んだり火をつけて楽しんでいたが、そのたばこの葉は筒状に紐で巻かれて売られ、その形がキャロットに似ていた、または、購入したその筒状のものをすりおろした上で使用する必要があり、その工程が人参をすり下ろして作るフランスの家庭料理の定番「キャロットラペ」を連想させるから、との理由が語られている。

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