ファイナンス 2024年9月号 No.706
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/(%)706050403020100全体その他海外拠点含めた人事イノベーション創出制度の統一人材の獲得年功序列型の是正組織の新陳代謝の促進若手の登用促進従業員の多様性確保従業員のスキル・能力向上戦略的な人材の採用強化成果に合わせた処遇の差1,000億円以上300~1,000億円未満300億円未満50年以上20~50年未満20年未満5,000人以上1,000~5,000人未満300~1,000人未満ファイナンス 2024 Sep. 39コラム 経済トレンド 123コースの選択制複線型人事制度企業日立製作所富士通資生堂「ジョブ型」導入の内容職務定義入社後に明確化新卒一括採用解雇給与体系職能型職務グレード型職務グレード型職務グレード型キャリアアップ(出所)第一生命経済研究所「ジョブ型雇用の4つのエッセンスとは?~国際比較から紐解く「自社版:ハイブリット型雇用制度」構築のススメ~」、パーソル総合研究所「https://rc.persol-group.co.jp/news/202106251200.html」(出所)各社HP、第一生命経済研究所「ジョブ型雇用の4つのエッセンスとは?~国際比較から紐解く「自社版:ハイブリット型雇用制度」構築のススメ~」・日本では、ジョブ型雇用を採用している欧米諸国とは異なり、メンバーシップ型雇用を中心とした人事制度・運用が根付いており、雇用制度をジョブ型雇用に入れ替えることは現実的ではないと考えられる。(図表8)・2021年に日本の企業を対象に実施されたアンケート調査によると、ジョブ型雇用管理制度を「すでに導入している」と答えた割合は18.0%にとどまり、「導入を検討している(導入の予定がある)」と答えた割合は39.6%であった。(図表9)・上記のアンケート調査において、ジョブ型雇用管理制度を導入済あるいは導入予定があるとした企業からは、導入の理由として、「従業員の成果に合わせて処遇の差をつけたい」(回答割合65.7%)、「戦略的な人材ポジションの採用力を強化したい」(同55.9%)、「従業員のスキル・能力の専門性を高めたい」(同52.1%)などが挙げられていた。(図表10)・導入目的から推察すると、日本企業におけるジョブ型雇用の導入は、従来のメンバーシップ型雇用からの抜本的な変更ではなく、ジョブ型雇用の一部を取り入れて、メリットを享受したいというニーズが多いと考えている。・ジョブ型雇用制度の限定導入を進める企業は、日本の労働市場に即した形を取り、人材マネジメント手法を、メンバーシップ型からジョブ型への変革を企図している場合が多いと考えている(図表11)・日本企業が目指す雇用制度の方向性として、メンバーシップ型雇用制度という基礎を活かして、ジョブ型雇用のメリットを取り入れたハイブリッド型雇用制度という考え方がある。(図表12)・上記を踏まえて、現在の企業と労働者が求めるニーズを鑑みると、企業は業種や職種ビジネス環境、導入する目的に応じて、どのようなジョブ型雇用のメリットを取り入れたいかを考え、従来型のメンバーシップ型雇用と組み合わせることを検討することが、重要となる。そうした人事制度設計・運用の検討を行っていくことが、日本企業の成長へとつながる人事制度のアップデートとなる可能性を秘めていると考えている。日本アメリカ採用前に明確化ありなし異動が一般的解雇が原則社内異動を優先転職を優先• 技術系の一部職種において、学歴別一律の初任給額ではなく、対象者の技能・経験および職務の内容などを考慮した個別処遇を設定。• 事務系職種においても職種別採用コースを新設。• 広範な事業領域を活用し多様な成長機会を提供。• 専門能力に加え、組織を成功に導く「人間力」の高さを評価。• 目指す社員像に基づく、実力主義の新グレード制。• 成果・挑戦・能力に応じ、ダイレクトに報いる報酬体系。• 職務・スキルを明確化し、全社員が専門性を深耕。• 従業員一人ひとりの職務内容について、期待する貢献や責KDDI任範囲を記載した職務記述書を作成。• 職責の高さを表す仕組みを設定し、レベルに応じた報酬水準とすることで、より高い職責へのチャレンジを促進。• 一般社員までを対象とし、社会・お客様へのインパクト、行動、成長を評価する制度を実施。• 社員が目指すべき専門性の領域を明確化。• それぞれの専門領域において必要な専門性とスキルを明示。• 管理職だけでなく一般職も含めた全階層に対して職務等級制度を導入。• 職務等級の判定に際して基準となるジョブ・ディスクリプションを明示。(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。フランスドイツ採用前に明確化採用前に明確化なしなしまずは異動をまずは異動を検討検討転職を優先(ホワイトカラーは優先しない)社内異動を優先(注)従業員数300人以上の企業740社を対象に実施。(図表9)日本のジョブ型雇用 導入状況(%)100806040200自社に、ジョブ型人事制度が「すでに導入されている」自社には、ジョブ型人事制度の「導入を検討している(導入予定含む)」自社には、ジョブ型人事制度を「導入しない」方針だジョブ型雇用・人事制度について知らない企業規模別設立年数別売上規模別ジョブ型雇用制度のエッセンスを加えた(注)ジョブ型管理制度導入済あるいは導入予定のある企業426社より、複数回答式で実施。日本型雇用制度採用の多様化ジョブ型採用インターン給与の可視化コラボ型キャリア支援ハイブリッド型雇用制度従業員のエンゲージメント向上ジョブポスティング拡大組織の可視化組織の見える化ジョブ型給与外部給与の参照中途採用の強化リスキリング環境整備(図表8)日本の従来型雇用制度と諸外国との比較(図表11)日本企業における「ジョブ型」導入(図表10)導入の理由(2021)(図表12)ハイブリッド型雇用制度日本におけるジョブ型雇用検討状況日本におけるジョブ型雇用導入の展望

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