メリットデメリットメリットデメリットその他にくい柔軟な労務対応がしにくい評価による差をつけ仕事の幅も広く、勤やすい続年数による差が出職種を変えてもらうあるときに退職リスクがうときに退職リスク勤務地を変えてもらがある専門性がつきにくい育成に時間がかかるその他評価管理がしやすい労務管理がしやすいてやすいジェネラリストを育年功序列により、長能性が高いく勤めてもらえる可勤務地を限定しないできるため、柔軟に配置がにより本人の特性にジョブローテーションあわせた育成が可能め、柔軟に配置がで職種を限定しないたきる0良いと思う雇用賃金労使関係企業別の労働組合との団体交渉や労働協約により、企業別の総額人入口出口配置転換教育訓練・未経験者をポストに就け、上司や先輩の指導を受けながら、実際(図表1)メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用メンバーシップ型雇用(図表4)メンバーシップ型雇用についてメリットと感じるところジョブ型雇用(%)50403020100(注)全国の企業の人事担当者1,224名を対象に、複数回答式のアンケート調査を実施。(出所)濱口桂一郎「ジョブ型雇用社会とは何かー正社員体制の矛盾と転機」、三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ワークスタイル変革に向けた「ジョブ型」人事制度導入の視点と実践的工夫 With&Postコロナの人事制度」、三井住友銀行「https://www.smbc.co.jp/hojin/magazine/personnel/about-job-based-employment.html」、パーソルグループ「https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/405/」(出所)株式会社リクルートキャリア「「ジョブ型雇用」に関する人事担当者対象調査2020」、労働契約法第三章第十六条、エン・ジャパン株式会社「https://corp.en-japan.com/newsrelease/2021/26845.html」、濱口桂一郎「ジョブ型雇用社会とは何かー正社員体制の矛盾と転機」、首相官邸ホームページ「https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/koyou_hearing/dai1/siryou2.pdf」労働契約法 第三章 労働契約の継続及び終了(解雇) 第十六条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」・日本の従来型の雇用管理制度は、メンバーシップ型雇用と呼ばれており、対して欧米諸国ではジョブ型雇用が採用されている。・メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の特徴については、濱口(2021)が図表1に示しているような、多くの違いがある。・ジョブ型雇用のメリット/デメリットについては、経営者目線と求職者目線で以下(図表2、図表3)の通り整理している。一方で個々の企業環境や職務、求職者の状況に応じて、変化するものであることには留意が必要である。・メンバーシップ型雇用のメリットが多く存在する(図表4)一方で、課題として、「人材育成に時間がかかること」、「専門性が付きにくいこと」が挙げられている(図表5)。近年の人材不足やDX人材等の専門人材への関心の高まりから、ジョブ型雇用への注目が高まっていると考えられる。・求職者目線では、『エン転職』のアンケート調査によると全体で76%がジョブ型雇用に対して好意的となっている。(図表6)・一方で、求職者目線において、ジョブ型雇用では解雇が容易になるという懸念が考えられるが、これは日本では当てはまらない。欧米諸国では整理解雇が最も正当な解雇理由とされるため、職務の喪失が雇用解除に繋がる。日本では、解雇に関して実定法規定(図表7)に関わらず、労使慣行として発達したものが判例法理として確立されており、社内に配転可能である限り解雇は正当とされにくいためである。・職務が特定されていない・ある職務に必要な人員が減少しても、他の職務に異動させて雇用契約を維持・契約で職務が特定されていないため、職務によって賃金を決めることができない。無理に職務によって賃金を決めてしまうと、異動が困難となる・ヒト基準で賃金を決める(客観的基準として勤続年数や年齢を用いる) → 年功制件費の増分を決める・新卒採用が主流・実際に仕事を開始する数ヶ月前から内定と称する雇用契約に入る場合が多い・本社の人事部局に採用権限がある・労働者個人の能力や行為を理由とする普通解雇よりも、職務の消失を理由とする整理解雇の方が厳しく制限されている(1)定期的に職を替わっていくのが大原則(定期人事異動)(2)様々な職務を経験する中でその会社自体に熟達していくため、他の会社に同じ職務で転職することが難しくなる(3)その会社に熟達した従業員を最後まで面倒を見なければならないとなる(4)定年までの雇用保障につながるに作業をする中で技能を習得させていく(%)50403020100・職務が特定されている・その職務に必要な人員が減少すれば雇用契約を解除・契約で定める職務によって賃金が決まっている・ヒトではなく、職務に賃金が紐付いている(同一労働同一賃金)職業別あるいは産業別の労働組合との団体交渉や労働協約により、職種ごとの賃金を決める・基本的に全て欠員募集・ある仕事を遂行する労働者を必要とするとき、その都度採用・労働者を必要とする各職場の管理者に採用権限がある・職務がなくなることが最も正当な解雇理由※アメリカでは解雇が自由だが、ヨーロッパやアジアの諸国では解雇には正当な理由が必要・同一職務の中で上に昇進していくことが原則・企業内外の空きポストに応募して転職・資格のある人や経験者など、その仕事を遂行できる能力のある人を採用・労働者は基本的に企業外で教育訓練を受けたうえで応募し、採用される(注)転職サイト『エン転職』ユーザー12,400名を対象にアンケート調査を実施。全体20代30代40代以上20外部から即戦力の人材を確保しやすい多様な働き方を担保できる報酬が職務の種類と数に紐づくため、各部門毎の人件費コントロールを行いやすい面がある多数一括型の人材育成と処遇管理に馴染まない職務記述書の記載外の業務遂行や、新しい取り組みへの動機付けがされにくい職務記述書の作成とメンテナンスのコストがかかる得意分野に特化して、能力を十分に発揮できる。専門性やスキルが高まり、仕事の効率や生産性向上に貢献できる担当職の喪失やスキルが要求水準に達しないと評価された場合に、配転が難しく離職せざるを得ない可能性がある406080良くないと思う100(%)/(図表5)メンバーシップ型雇用について課題と感じるところ(図表7)日本における整理解雇を規制する法令の内容(2020)(図表2)【経営者目線】ジョブ型雇用のメリット/デメリット(図表3)【求職者目線】ジョブ型雇用のメリット/デメリット(図表6)求職者におけるジョブ型雇用に対する評価(2021)大臣官房総合政策課 調査員 田矢 祐樹/齊之平 大致本稿では、日本におけるジョブ型雇用の展望について考察する。コラム 経済トレンド123ジョブ型雇用とはメンバーシップ型雇用の評価とジョブ型雇用への関心 38 ファイナンス 2024 Sep.日本におけるジョブ型雇用の展望
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