ファイナンス 2024年9月号 No.706
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ÿ ファイナンス 2024 Sep. 29(出所)日本証券業協会*16名称0.2%W株式会社X株式会社Y株式会社Z株式会社50億円20億円70億円合計発行条件0.3%20億円100億円120億円*16) https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/jishukisei/web-handbook/106_saiken/■les/20220622_shasaihakkokisoku_qa.pdf*17) この図は図表4の右上を切り出したものです。図表4 リテンション方式債券発行におけるリテンション方式・POT方式・トランスペアレンシー方式図表5 債券起債に係る投資家の需要図表4を用いて、リテンション方式の概要を説明します。ある発行体が社債を起債し、証券会社が引き受けて販売するとします。具体的には、A証券とB証券はこの起債の主幹事証券であり、両社が当該債券を引き受けるだけでなく、起債運営やドキュメンテーションの作成などを担います。A証券がトップレフト(事務主幹事)であり、この案件の取りまとめを行います(B証券が共同主幹事(共同主幹事会員)です)。これに加え、この案件では、主幹事証券ではないが引受を行う主体として、C証券とD証券という引受証券も存在します。前述の通り、リテンション方式では、主幹事証券であるA証券とB証券が需要を取りまとめ、起債し、各証券会社ごとに販売を行います。ここでは、ある投資家(W株式会社とします)が金利0.3%であれば20億円買いたいという注文をA証券にしたとします。その一方、X株式会社は0.2%で50億円買いたいという注文をB証券にしたとします(図表4を参照)。*16これに加え、前述のとおり、この案件では、引受を行う主体として、C証券とD証券という引受証券も存在します。そのうえで、Y株式会社はC証券に、0.3%でなら100億円買うという注文をした一方、Z株式会社は、0.2%であれば20億円買うという注文をD証券にしたとします。この注文をまとめたのが図表5の通りです*17。これをみると金利0.2%では合計70億円の需要があり、0.3%では合計120億円の注文があります。もし発行額が50億円であれば0.2%の金利での発行が可能ですが、発行額が150億円であると0.3%で発行という形になります。もし発行額が80億円であれば、例えば証券会社が0.2%で10億円買ってくれる投資家を探すなどの努力をしますし、それが困難であれば、0.3%で発行という形になります。上記では需要情報はシンプルに記載されましたが、実際の需要情報のイメージは、図表6のように様々な業態の投資家の需要が集約される形となります。なお、ここでの起債においては、当該債券を全ての投資家が同じ値段で買うという特徴がありますが、これを「均一価格販売方式」といいます。このことは、一部の投資家にだけディスカウントして販売しないことも意味します(一部の人にディスカウントして販売ÿ !"ÿÿÿ#ÿ$%&'(&)*+,-./01234 56789:/0;<= 9:'> ?14 56;@89:/09:AB6CD1ABDEFGH56I "?JKLMNO,-./01PQRLS T UV WLL "ÿÿÿXYZ[\],-./0^_89:/01P`Ma TNO,-./0bcMNO,-./01WdTefgV WLL "ÿÿRahda ;aiM4j!kS^_,-./0lm6nMaop I ?[,-./0lm\qV "+89:/0rstuvwx6[yzZ{m89:/0\qV WLT|KuS"ÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿ

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