ファイナンス 2024年9月号 No.706
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*19) 国税庁(2024)「令和5年度 査察の概要」 http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sasatsu/r05_sasatsu.pdf租税犯罪等タスクフォース(TFTC)の概要と国際租税犯罪対策の展望 16 ファイナンス 2024 Sep.巧妙な隠ぺい工作を行う租税犯を相手にせざるを得ないということだと考えている。そもそも従来から、日本の租税犯は「複雑・巧妙化している」とされており、例えば消費税の不正還付のように、より詐欺的な色彩の強い事例も目立つようになっている*19。その中で、さらにその傾向が進展していくとすれば、当局の側もそれに対応した能力を戦略的に身に付けていく必要がある。国際的な租税犯罪への取組みは、息の長い投資であり、数年では必ずしも目に見える成果にはつながり難いかもしれない。他方で、こういった取組みは、長い目で見れば、国税当局の租税犯の訴追能力の向上に大きな影響を与えうるであろう。グローバル化が進展する中、TFTCでの議論や取り組みに継続的かつ積極的に参画し、査察の国際調査能力を維持・向上させ続けることが、結果的には査察における着実な国際事案の立件・告発に繋がることになる。真に悪質な脱税者を見逃すことなく、査察の使命である「一罰百戒」を実現していくことが、今後の査察行政、ひいては税務行政にとって極めて重要である。(以上)

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