ファイナンス 2024年8月号 No.705
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資、企業価値、そして国内投資のリンクを太くすることは可能であると考えています。対内直接投資と国内成長の関係についてですが、対内直接投資は国内企業に貢献しないかというと、長期的には貢献し得ると思います。海外のグローバル企業の経営手法、経営の新しいビジネスモデルを日本企業が学ぶことを通じて、日本企業が練磨され、よりグローバルな企業として成長していく。それが究極的には日本企業の企業価値を高め、日本の国内成長にも貢献するというふうに考えています。「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」報告書「資金循環」とは、企業、家計、政府、海外といった経済主体の間での資金の貸し借りの状況を表す統計のことであり、経済の血液とも言える「お金」がどのように流れているかを示すものです。本研究会では、生産された付加価値が分配され支出されるまでの過程での「資金の流れ」に注目し、日本経済の成長に向けた課題を整理することを目的に、日本における部門間の資金需給の今後の中長期的な変化の方向性や望ましい政策のあり方を検討しています。特に、個別の課題を日本経済全体の資金循環の観点から捉え、マクロ経済のバランスの中で位置付けることを意識して検討を行っています。それぞれの議論については、以下の各章にある報告をご覧ください。(報告書目次)※肩書きは2024年6月時点はじめに 宇南山 卓 京都大学経済研究所教授/財務省財務総合政策研究所特別研究官第1章 資金循環と日本経済の構造変化     川本 敦  財務省財務総合政策研究所総務研究部総務課長     鶴岡 将司 財務省財務総合政策研究所総務研究部総括主任研究官第2章 マクロ経済理論から見た日本経済の資金循環表     齊藤 誠 名古屋大学大学院経済学研究科教授第3章 資金循環の国際比較     伴 真由美  財務省財務総合政策研究所総務研究部主任研究官     篠原 裕晶  財務省財務総合政策研究所総務研究部財政経済計量分析室員     大川 隼人  財務省財務総合政策研究所研究員     小俣 喬尚  財務省財務総合政策研究所研究員     上酔尾 昂平 財務省財務総合政策研究所研究員     佐川 明那  財務省財務総合政策研究所研究員     西田 安紗  財務省財務総合政策研究所研究員     野村 華   財務省財務総合政策研究所研究員「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」の情報はこちらからご覧いただけます。https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2023/junkan.html※なお、本報告書の内容や意見はすべて執筆者個人の見解であり、財務省あるいは財務総合政策研究所の公式見解を示すものではありません。 66 ファイナンス 2024 Aug.

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