月21年9102月11年9102月01年9102月90年9102月80年9102月70年9102月60年9102月50年9102月40年9102月30年9102月20年9102月10年9102月21年8102月11年8102月01年8102月90年8102月80年8102月70年8102月60年8102月50年8102月40年81020 ファイナンス 2024 Aug. 4145040035030025020015010050(出所)東京都(出所)筆者作成図表7 東京都10年債の発行額推移(億円)500図表8 融合方式のイメージ融合方式=同日にシ団引受方式と主幹事方式を実施して起債多めに発行する部分は主幹事方式を採用・・・通常発行分はシ団方式を採用*12) 東京都のIRでは10年債に関し、「シ団引受方式に主幹事方式的なマーケティングを組み込んだ起債方式「融合方式」による発行を、半期に一度実施し、定例債においても投資家との継続的な対話の機会を確保」(p.31)としています。詳細は下記を参照してください。https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/R3ir_spring_mainシ団引受方式入門東京都の重要な特徴として、10年債の発行に際し、シ団引受方式だけでなく、これまで融合方式も用いてきた点があります。後述するとおり、2024年度から都債発行における融合方式は取りやめていますが、その後の主幹事方式を考える上でも融合方式を理解することは有益です。前述のとおり、東京都は毎月、10年債をシ団引受方式により定額で発行しています。図表7は、(コロナ禍前の)2018年と2019年に発行された10年債の発行額の推移ですが、例えば9月などに、通常より多めに起債を計画することがあります。このように通常発行額より多めに発行する部分について、主幹事方式を採用する方法が融合方式です。融合方式のイメージは図表8のとおりです。図表9は、主幹事方式・融合方式・シ団引受方式を比較した資料になります。融合方式は、「シ団側が提案する発行水準と、主幹事が実施する需要積上げ水準を基に発行体と幹事団が協議のうえ決定」(p.23)とされており、「定例的な購入層及び大口購入層からの需要に対応」(p.23)としています。融合方式を導入した背景には、2008年のリーマンショックがあります。東京都財務局主計部公債課(2012)によれば、リーマンショックを受けて2009年(平成21年)に大幅な税収減となったとしています。その上で、「都は、投資家との対話を重視した起債運営の重要性を強く認識し、2度(平成21年6月・10月)にわたる主幹事方式での10年債のスポット発行を経て、安定消化に適したシ団プレマ方式に主幹事方式的な要素を組み込むことで、中央・地方を問わず多くの投資家との対話を充実させる新たな条件決定方式の可能性を追求すべく、平成22年2月に初めて『融合方式』を試行実施しました」(p.64)としています。東京都は金融危機による税収減を受け、市場を重視した発行方法を取ることにしたのです。一般的に、主幹事方式や入札方式の方が市場を重視すると評価される中で、定期的に、主幹事方式を一部取り込んだ融合方式をとることで、市場実勢を確認しているとみることができます*12。なお、都では永らく半年に一度融合方式を採用していました。4.3 融合方式
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