*1) 外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドライン: *2) FATF勧告: *3) 銀行等、資金移動業者、電子決済手段等取引業者等及び両替業者をいう。*4) 策定にあたり実施したパブリックコメントに寄せられた御意見及び御意見への考え方等: *5) 外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドラインQ&A: https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/inspection/guideline_index.htmhttps://www.fatf-ga■.org/en/topics/fatf-recommendations.htmlhttps://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=395122316&Mode=1https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/inspection/guideline_index.htm1.外為ガイドライン策定の経緯と背景財務省は、国際的な協力の下で行われる資産凍結等経済制裁措置の実効性を担保する観点から外為法に基づいて課された諸義務の遵守状況を確認するため、金融機関等に対する検査を実施しております。また、検査においては、金融活動作業部会(Financial Action Task Force。以下「FATF」という。)の勧告*2を踏まえ、マネー・ローンダリングの防止等のために策定された犯収法に掲げる諸義務の遵守状況についても確認しております。財務省は、令和5年11月24日に外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)並びに犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯収法」という。)の遵守に関する考え方・解釈及び検査を行う検査官の検査指針を示す「外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドライン」(以下「外為ガイドライン」という。)を公表*1しました。外為ガイドラインは、令和6年4月1日より適用されており、これに併せ、財務省は外為ガイドラインに基づく外国為替検査(以下「検査」という。)を開始しております。本稿では、外為ガイドライン導入の背景やその内容、検査の方向性を分かりやすく説明します。なお、文中、意見等にわたる部分は筆者の個人的見解であることを予めお断りしておきます。検査の実施にあたり、財務省はこれまで様々なガイダンス等を公表してきており、平成15年1月には、米国における同時多発テロ事件の発生を受け、検査事項及び検査方法等に関する実施細目をチェックリスト形式で定めた「外国為替検査マニュアル」を制定しました。その後、刻々と変わる国際情勢を受けて変化するリスクに、機動的かつ実効的に対応するという国際的な要請を踏まえ、平成30年9月には、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策について、リスクを特定・評価し、リスクに見合った低減措置を講じるリスクベース・アプローチ(以下「RBA」という。)の考え方を導入し、必要な態勢整備等に関する具体的な検査項目を詳述した「外国為替検査ガイドライン」(以下「検査ガイドライン」という。)を、金融機関等検査対象者に向けた検査指針として制定しました。更に、令和4年12月には改正外為法が成立し、経済制裁措置の実効性を一層高めるために新設された外国為替取引等取扱業者遵守基準により、外国為替取引等取扱業者*3は、外国為替取引等取扱業者遵守基準に基づき、経済制裁措置を適切に履行するためのRBAによる対応や態勢整備が外為法令に基づく義務として明示的に求められることとなりました。これを受け、外為ガイドラインは、外国為替取引等取扱業者による外為法及び犯収法に係る義務の遵守を確保するため、検査ガイドラインを発展的に改組する形で令和5年11月に策定されました*4。また、外為ガイドラインで対応が求められる事項の具体的対応例等を「外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドラインQ&A*5」(以下「Q&A」という。)として取りまとめ、外為ガイドラインと併せて公表しました。国際局調査課為替実査室 為替実査室長 舟橋 聡国際局調査課為替実査室 為替実査官 梶浦 猛成 18 ファイナンス 2024 Aug.外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドラインの適用について
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