ファイナンス 2024年7月号 No.704
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標本法人数約14,400社調査対象法人調査対象業種調査時期発表時期ファイナンス 2024 Jul. 75「貴社の景況」の場合、前期と比べて「上昇」と回答した企業の構成比・・・40%「不変」と回答した企業の構成比・・・25%「下降」と回答した企業の構成比・・・30%「不明」と回答した企業の構成比・・・5%BSI=「上昇」と回答した企業の構成比(40%)―「下降」と回答した企業の構成比(30%)=10%ポイント法人企業景気予測調査資本金1千万円以上の法人※電気・ガス・水道業及び金融業、保険全業種(37区分)調査:当該四半期発表:最終月の上旬~中旬貴社の景況(決定要因も調査)、国内の景況、従業員の過不足感等BSI:方向性判断項目調査指標前期からの変化(上昇・下降)2四半期先まで調査売上高、経常利益、設備投資、土地購入額、ソフトウェア投資額調査期ある企業の当期の収益DI(水準の判断)BSI(方向性の判断)※この企業の平均的な収益を100とする業は1億円以上日銀短観約9,100社〈2024年3月時点〉資本金2千万円以上の民間企業農業、水道業、一部サービス業等を除く業種(31区分)調査:3月、6月、9月、12月発表:翌月初め(12月調査は12月中旬)貴社の業況、貴社の雇用人員の過不足感等DI:水準調査票記入時点の水準(良い・悪い)先行きの1四半期先まで調査期間売上高、経常利益、設備投資計数項目額、土地投資額、ソフトウェ調査ア投資額等発表単位全国、地域ブロック、都府県全国、支店130良い―806050悪い下降悪い下降80140悪い上昇良い上昇【図9】BSIの計算方法【図11】ある調査対象法人における収益と景況判断の仮設例12345678 140120良い上昇良い下降悪い下降ここでは、前期と比べた変化方向を聞いているBSIと、調査票記入時点での水準を聞いているDIとの違いについてご説明します。ある調査対象法人において、毎期の平均的な収益が100であり、この法人は各期の収益に基づいて景況感を判断している、と仮定します。この場合、DIで「調査時点において良いか悪いか」の判断を問われた場合には、その時の収益額が、平均水準の100よりも高ければ「良い」、低ければ「悪い」と回答すると思われます。一方、BSIで「前期と比べ上昇したか下降したか」を問われた場合には、平均水準の100とは関係なく、収益が前期よりも増加していれば「上昇」、前期より減少していれば「下降」と回答すると思われます。すると、上記の表の第3期と第7期をご覧いただくと、第3期ではDIは「良い」を維持しているものの、BSIでは「下降」に転じています。逆に第7期では、DIは「悪い」のままですが、BSIは「上昇」に転じています。このように、景気の動向の変化、景気の転換点を、DIよりもBSIの方が早く捉えることができる、ということが期待されます。PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 33法人企業景気予測調査は、日本銀行で実施されている「日銀短観(全国企業短期経済観測調査)」と、図10のような違いがあります。四半期ごとの発表時期は、法人企業景気予測調査の方が日銀短観よりも3週間程度(10-12月期調査については1週間程度)早く、また、判断項目の指標については、日銀短観が調査票記入時点の水準(良い・悪い等)を調査するDI(Diffusion Index)を用いているのに対して、法人企業景気予測調査では、景況判断について前期と比べた方向性(上昇・下降等)を調査するBSIを用いています。また、法人企業景気予測調査では景況判断と合わせてその決定要因についても調査しています。そのほか、法人企業景気予測調査では、先行きの期間について2四半期先まで調査している点や、発表単位について全国に加え地域ブロック、各都府県別でも発表している点、調査対象法人について、資本金1千万円以上の法人を対象としており日銀短観よりもカバレッジが広いといった点に特色があります。エ 法人企業景気予測調査の活用状況法人企業景気予測調査の調査結果についても、法人企業統計調査と同様に、経済・財政政策立案の基礎資料として利用されています。法人企業統計調査の項でも紹介した「月例経済報告」において「設備投資」のウ 法人企業景気予測調査と日銀短観との違い【図10】法人企業景気予測調査と日銀短観との比較(コラム3)DIよりも景気の転換点を早く捉えるBSI

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