労働生産性(従業員一人当たりの付加価値額)年度見通しといった「計数項目」も調査しています。また、設備投資や利益配分のスタンスなど、四半期毎に異なる設問をアンケート形式でお聞きする「アンケート項目」を設定しています。法人企業景気予測調査は、統計法に規定される一般統計調査のなかでも重要・広範に利活用される統計として「特定一般統計調査」に指定されています。なお、法人企業景気予測調査では、「統計改革の基本方針」(平成28年12月経済財政諮問会議決定)等を踏まえ、効率化等の観点から、学識経験者との議論を経て平成31年度から抜本的な見直しを行いました。具体的には、判断項目の多くを廃止するなど、全体で調査項目数を50%超削減したほか、調査対象法人数を10%削減しました。一方で、「アンケート項目」についてはユーザーの注目度が高いことから、設問を毎期1問から2問に増設しました。特に、法人企業景気予測調査は実績を把握する法人企業統計調査に対して先行きに関する情報を得る調査との位置付けがあるこ(単位:万円)1,00090080070060050040030020010002022年度は、製造業では付加価値額の対前年度増加率が従業員数の増加率を下回ったことから労働生産性は前年度比で低下している一方、非製造業では付加価値額の対前年度増加率が従業員数の増加率を上回ったことから労働生産性は前年度比で上昇しており、全産業で見た労働生産性は前年度比で上昇しています。全産業製造業非製造業6062646668707274767880828486889092949698000204060810121416182022(年度)労働生産性902738694【図8】「法人企業統計からみえる企業の財務指標」(抜粋)労働生産性とは、従業員一人当たりの付加価値額を言い、付加価値額を従業員数で除したものです。労働の効率性を計る尺度であり、労働生産性が高い場合は、投入された労働力が効率的に利用されていると言えます。労働生産性(円)=付加価値額従業員数とから、「設備投資」の実態をより的確に捉えるため、「アンケート項目」において「今年度の設備投資の対象」、「今年度の設備投資計画と実績見込みとのかい離」などを新設しました。このほか、「計数項目」においてもユーザーニーズが高かった「設備投資の今四半期の実績見込み」を資本金10億円以上の企業に限定して調査することとしました。このように、回答者の負担軽減を図る一方、アンケート項目の充実などによりユーザーの利便性向上にも資する見直しを行いました。イ BSIとは法人企業景気予測調査の判断項目について、例えば「貴社の景況」では、前期と比べて「上昇」と回答した企業の構成比から「下降」と回答した企業の構成比を差し引いた指数として公表しています。この指数をBSI(Business Survey Index)と呼んでいます。具体的な計算方法は以下をご覧ください。 74 ファイナンス 2024 Jul.(コラム2)「法人企業統計からみえる企業の財務指標」について法人企業統計調査の四半期別調査は足下の短期的な変動を確認することに適しているのに対し、年次別調査は企業の確定決算計数を調査しており、企業の構造的変化を長期時系列で確認することに適しています。「法人企業統計からみえる企業の財務指標」は、年次別調査によって集計された日本企業の貸借対照表や損益計算書にかかわる数字を使って計算した企業の財務指標を一覧にしたものです。財務指標の定義や計算式を分かりやすく紹介するとともに、年次別調査のデータを利用してこれまでの推移をまとめています。財務総研ホームページに掲載していますのでぜひご覧ください。
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