*1) 令和5年3月に閣議決定された、第Ⅳ期の「公的統計の整備に関する基本的な計画」に盛り込まれています。(2) 陰の主役「法人企業統計等ネットワークシステム(FABNET)」る一方、自宅でもPCさえあれば調査に協力ができるオンラインでの提出件数は増加しており、直近の法人企業統計令和6年1-3月期調査のオンライン回収率は58.2%と、調査対象法人の半数以上がオンライン調査を選択しています。オンライン調査に対するニーズは、今後も高まっていくと考えています。イ 今後の取組みこのような中、今後財務総研としてオンライン調査を普及させていかなくてはなりませんが、そのためには様々な課題があります。現在、法人企業景気予測調査においては、HTML調査票を導入し、2種類の調査票を活用してオンライン調査を実施しています。その結果、法人企業景気予測調査では、Excel調査票からHTML調査票に切り替える企業も増えてきており、その利便性が確認されつつあります。今後とも、財務総研においては、法人企業統計も含め、企業の調査票作成業務やオンラインによる提出がより効率的に行えるよう環境を改善する方法を考えることによって、オンライン調査の利便性向上を図っていきたいと考えています。さらに、FABNETの安定的な運用のために、「ガバメント・クラウド」への移行を進めることを予定しています。「ガバメント・クラウド」とは、デジタル庁が整備する政府共通のクラウドサービスで、この利用環境の下で運用することによって、これまで機器更改時に発生していたシステム構築費用や自前で用意していたミドルウェア(セキュリティやデータベース等システムの運用に必要なライセンス使用料など)を削減し、首都直下型地震等の災害に対しても強いシステムの運用を実現することが期待されます。統計調査の実施や結果の集計・公表に支障がないようにしつつ、FABNETの効率的かつ安定的な運用に取り組んでいくことを考えています。 72 ファイナンス 2024 Jul.ア 調査の実施に不可欠なFABNET統計調査で重要な役割を担うのが、平成15年度から運用している「法人企業統計等ネットワークシステム(以下FABNET:Network System of Financial Statements Statistics and Business Outlook Survey)」です。前述したとおり、FABNETは、法人企業統計調査及び法人企業景気予測調査を作成するための統合オンラインシステムとして、法人管理(調査対象法人の選定及び名簿管理)から調査票の印刷、調査票の回収・審査、調査の集計・推計から結果の公表に至るあらゆる業務で使用し、財務局等と一体となった調査実施において欠かせないシステムとなっています。特に、財務総研と財務局等を接続するだけではなく、政府統計共同利用システム(e-Survey及びe-Stat)とも連携し、オンラインでの調査票の回収や調査結果の公表においても中心的な役割を担っています。なお、災害等が発生した場合でも、FABNETを安定的に運用できるように、財務総研と受託業者一体となったバックアップ体制を整えています。今後、デジタル技術を活用した報告者の負担軽減と統計ユーザーへの利便性向上を実現する観点から、法人企業統計等の基幹統計に対しては、「今後5年間でオンラインによる回答割合を8割以上になることを目指してシステムの改善等に取り組む」こととされています*1。オンラインで回答することによって、調査対象法人は、手書きや郵送の手間が省けることに加え、電子調査票における自動集計機能やメッセージの表示により、入力が容易になります。調査実施主体である財務総研や財務局等にとっても、提出された調査票の誤記入が紙面で提出されたものと比べて格段に少なくなることから、調査対象法人に対して調査票の計数に関する問い合わせ回数が減少し、業務の効率化が図られるといったメリットがあります。特に、コロナ禍における外出制限等の影響で、統計調査におけるオンライン化の流れは急速に進展しました。テレワークの普及に伴い、勤務先に出勤しないと調査に協力ができない紙面調査票の提出件数は減少す
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