ファイナンス 2024年7月号 No.704
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ファイナンス 2024 Jul. 67ペルー地方部のコーヒー農園でAbacoからの融資で購入された機材の一部 日秘文化会館の玄関と併設レストランのSOBA劇場や日本人移民の歴史に関する資料館があるほか、日本料理店や雑貨店、そしてAbacoの支店も入っています。ペルーでは沖縄県にルーツを持つ日系人が多いとされていますが、併設のレストランで提供されているSOBAも蕎麦粉ではなく小麦粉を使っており、沖縄そばに近い味わいです。3−2. 日本企業によるITエンジニア育成 プログラムの導入(パラグアイ)の支援の下、ミュージックセキュリティーズ社の持つテクノロジーを中南米でどのように活用できるかという点を中心に、国や社会課題、現地パートナーの特定が行われました。その結果、前述の連携実績にも鑑み、Abacoが現地パートナーに選定されました。ペルーでは、新しい資金調達スキームとしてのクラウドファンディングに対する関心の高まりを受け、クラウドファンディングに関する法整備が近年行われたところです。今回のミュージックセキュリティーズ社とAbacoのプロジェクトでは、クラウドファンディングプラットフォームの立ち上げ・運営にあたっての法的コンプライアンスの確保、マーケティングやコミュニケーション戦略の策定・実施、MSMEsへの融資条件の詳細等、ビジネスモデルの実行に向けた支援が今後行われていく予定です。株式会社ダイビックは、ITエンジニアを育成するためのプログラミングスクールや人材紹介サービスを展開する日本企業です。2021年のTSUBASAプログラムの採択企業の一つとして、国や現地パートナーの特定を含む中南米進出の準備が進められ、2022年、パラグアイにおいて学生・若年層向けにオンライン・プログラミング学習システムを提供するプロジェクトが開始されました。パラグアイでは、総人口の4分の1以上を占める18歳~34歳の若年層における高い失業率が社会課題となっています。また、ソフトウェア分野は最も大きな成長率が期待される産業の一つであるにもかかわらず、教育機関や現地企業におけるトレーニング環境が整っておらず、ITエンジニアの育成が間に合っていない状況にあります。このような状況下、パラグアイ政府は国家戦略の核の一つとしてデジタル化を推進しています。本プロジェクトは、ダイビック社がパラグアイ現地のNGOであるEl Centro de Ingeniería para la Investigación, Desarrollo e Innovación Tecnológica(CIDIT)とパートナーシップを結び、CIDITを実施機関として、ITエンジニア育成オンラインプログラムの導入と普及を目指すものです。IDB Labを通じて日本信託基金からも支援し、学習システムのローカライズ(プログラム言語の追加やスペイン語対応等)を行った上で、経済的に恵まれていない若コラムリマの日秘文化会館ペルー・リマにあるCentro Cultural Peruano Japonés(日秘文化会館)は、ペルーと日本の文化交流を促進するためにAPJ(Asociación Peruano Japonesa、ペルー日系人協会)が運営する文化施設です。1967年の開館式には上皇(当時皇太子)ご夫妻も出席されました。

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