3 3 IDBグループを通じた支援IDBグループを通じた中南米支援の中で、日系人とつながりが深い最近のプロジェクトを2つ紹介したいと思います。いずれもIDB Lab、そしてIDB LabがJICAと共同で行っているTSUBASAプログラムに関係するものです。国 ファイナンス 2024 Jul. 65(出典:外務省「海外日系人数推計」より作成)推計日系人数約270万人約20万人約7.9万人約6.5万人約1.3万人約1万人約3,600人約3,100人約1,000人約760人約460人約330人約308万人ブラジルペルーメキシコアルゼンチンボリビアパラグアイチリコロンビアキューバドミニカ共和国ウルグアイベネズエラ中南米全体中南米の推計日系人数 (2023年10月1日時点)マチュピチュ村移民募集のポスター (出典:外務省外交史料館)有名な世界遺産であるペルーのマチュピチュ遺跡。その玄関口となるマチュピチュ村がなぜか日本の温泉街に見える、というのが以前SNSで話題になっていました。実際に日本の街並みに影響を受けたのかは分かりませんが、マチュピチュ村の実質的な初代村長は日本人移民である野内与吉氏だったことはあまり知られていません。野内氏は1917年に移民団の一員としてペルーに渡り、マチュピチュ村までの路線建設に携わった後に村に定住し、道路や水路、水力発電の建造や、ホテル建設などの観光開発にも尽力して指導的立場となり、2年間実質的に村長を務めたということです。その功績をたたえ、2015年、マチュピチュ村が初めての姉妹都市協定を締結したのは、野内氏の故郷である福島県大玉村でした。 2 2 中南米における日系人中南米には、約308万人の日系人が暮らしていると推計されています。世界全体の日系人は約500万人とされており、このうち約6割が中南米で暮らしていることになります。日本人の中南米への移住は、19世紀後半から始まりました。海外移住は、個人による移民と政府等による集団計画移住に大きく分けられますが、中南米への集団計画移住としては、1899年に790人がペルーに渡ったのが最初となります。ペルーの日系人は現在約20万人と推計されています。現在約270万人と中南米最大の日系人コミュニティを有するブラジルへの集団計画移住は、1908年、781人がコーヒー農園等で働く契約移民として渡ったのが始まりでした。未開の土地に住み、農作物の不作や風土病などの困難に直面しながらも、それを乗り越えて、各地の農業の発展に大きく寄与したといわれています。また、移住者及び子孫の方々が各国で設立した日系団体は、日本文化の継承と普及の役割を果たしてきています。コラムペルーのマチュピチュ村と日本人村長
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