ファイナンス 2024年7月号 No.704
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ファイナンス 2024 Jul. 45(株)野村資本市場研究所 研究理事 齋藤 通雄 氏■城県 副知事 横山 征成 氏(右端)(株)常陽産業研究所 チーフエコノミスト 尾家 啓之 氏「■城活性化サロン(特別回)」の開催 要所においては直接伺い、当日の流れや講演内容の確認等について打合せを重ね、事務局としても企画係長を中心に各課の協力を得て、万端な準備の下サロン当日を迎えました。第2部は、横山氏から「「新しい茨城」への挑戦」と題して、茨城県における経済の更なる活性化の取組みについて紹介いただきました。社会・経済の構造的な変化に対応し、従来の常識や考え方にとらわれず、自ら未来を切り開いていく必要があるとして、企業誘致、第一次産業、観光、海外市場開拓、人材確保、ベンチャー支援といった差別化で利益を上げている県の産業政策について解説いただきました。県の政策や取組みを通じて「新しい茨城」への挑戦には何が求められるのかを考える機会となりました。3.当日の模様当日は、経済団体、地方公共団体、金融機関等の25団体56名の参加を得て、3部構成で開催しました。第1部は、齋藤氏から「茨城経済活性化のチャンスとハードル」と題し基調講演をいただきました。経済における近年の環境変化やパラダイム転換について解説があった後、最近の経済を取り巻く環境の変化の中で、民間事業者や金融機関に必要とされる取組み、地方公共団体等のパブリックセクターが民間の取組みをどのような形でサポートするべきか、茨城の強みも含め、齋藤氏の知見と経験を踏まえた多角的な視点から講演をいただきました。特に「世の中が変わっていく中で、現状維持は相対的に後退を意味する」との含蓄ある一言は、参加者の心に響くものでした。第3部は、齋藤氏、横山氏の講演を踏まえパネリストと参加者による意見交換が行われました。始めに、尾家氏から、近年の環境変化、人材確保の面から職場としての自社の魅力を高めていくことの重要性、県内金融機関のスタートアップ支援の紹介、茨城経済の特色や優位性、金融環境(マイナス金利解除)についての解説とコメントがあった後、横山氏から、「研究開発拠点・つくばの存在、製造業の集積といった茨城の強みを齋藤氏からご指摘いただき心強く感じる。改めて、茨城の持っているものを最大限活かした取組みを進めていきたい」、齋藤氏からも、「地域を活性化させたいとき、ほかと同じことをやるのではなく、地域ごとの個性や歴史的な経緯も含めた特色を踏まえ施策を講じていかなければならない。そういった意味で、横山氏が県の取組み紹介の中で“差別化”という言葉を使われていた、その着眼点に対して共感する」との発言がありました。参加者との意見交換についても紹介します。大学関係者から、人材確保が茨城経済の活性化を長期的に実

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