ファイナンス 2024年7月号 No.704
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政府がスタートアップの技術を⾃ら探知し調達すること及びスタートアップが政府のニーズを詳細に把握することが困難であるとの背景を受け、本スキームではまず、政府だけでは最適な解決策の確定が困難であり、スタートアップの有する新技術による解決が⾒込まれる⾏政課題に対して、その解決のための技術提案を公募する。調達省庁は、得られた技術提案を審査し、内閣府の確認を経た上で、⾏政課題を適切に解決しうる提案を⾏った者を、「⾼度かつ独⾃の新技術を有するスタートアップ等」として決定する。その後、調達省庁は当該スタートアップ等と案件の仕様等を確定し、随意契約を締結し、公表する。技術提案の公募はJ-Startup選定企業等*を対象に実施する。また、J-Startup選定企業等以外の企業も含めて公募し調達案件の選定技術提案の技術提案の審査公募⾼度かつ独⾃の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム内閣府の確認仕様の確定予定価格の決定随意契約の締結(参考3)高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム*11*11) 説明資料は、デジタル行財政改革会議(第5回)(令和6年4月22日)の資料3(経済産業大臣提出資料)より転載。その後、6月10日に「スタートアップからの公共調達促進に関する関係府省庁等会議」を開催し、「高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約(スタートアップ技術提案評価方式)」の具体的な運用及び活用について、各府省庁等会計課長等による申合せを行った。最適な解決策の確定が困難な課題であり、スタートアップからの調達が⾒込まれる案件であることを調達省庁において確認*J-Startup選定企業等とは、J-Startup、J-Startup Impact, J-Startup local選定企業等を含む、「技術⼒ある中⼩企業者等の⼊札参加機会の拡⼤について(平成12年10⽉10⽇政府調達(公共事業を除く)⼿続の電⼦化推進省庁連絡会議幹事会決定)」の3(3)から(7)までに掲げるもの(SBIRの特定新技術補助⾦等の交付先、官⺠ファンドが出資したファンドの出資先等)及び⽇本スタートアップ⼤賞、⽇本ベンチャー⼤賞その他各省におけるスタートアップ表彰企業の受賞企業を指す。た場合は、J-Startup選定企業等であることを評価項⽬として、優れたスタートアップへの優遇を⾏う。①J-Startup選定企業等に限定②の公募の場合、J-Startup選定企業等*であることを評価項⽬とすして公募②J-Startup選定企業等以外の企業も含めて公募複数の仕様を作成する前提で、複数社を決定すのいずれかを選択可能ることも可能る調達省庁は技術提案の審査結果に関して内閣府の確認を経た上で、⾼度かつ独⾃の新技術を有するスタートアップ等を決定発注者は⾼度かつ独⾃の新技術を有するスタートアップ等と交渉のうえ、仕様を確定し、予定価格を決定会計法29条の3第4項における「契約の性質⼜は⽬的が競争を許さない場合」に該当することを調達省庁において確認し、契約締結後に公表〈関連法令〉会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の三 契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。② 前項の競争に加わろうとする者に必要な資格及び同項の公告の方法その他同項の競争について必要な事項は、政令でこれを定める。③ 契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で第一項の競争に付する必要がない場合及び同項の競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付するものとする。④ 契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。 42 ファイナンス 2024 Jul.①⾼度かつ独⾃の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム(最終調整中)4.おわりに各府省庁が付帯的政策の取組を検討する場合、行政改革推進本部事務局及び財務省に対して情報提供及び事前協議を行うとされている(調達改善の取組の強化について(平成27年1月26日行政改革推進会議))。その際、際限なく公共調達を活用した取組を増加させることのないよう、個々の取組について、経済性、公正性等の諸原則との整合性について十分留意する必要がある。*11

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