ファイナンス 2024年7月号 No.704
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ファイナンス 2024 Jul. 35国家公務員等の旅費制度の見直しについて(法律編) ることを想定している。第二に、旅費法の適正な執行を確保するため、財務大臣による各庁の長に対する監督規定を新設している。上述のとおり、これまで定額で規定されていた宿泊料等を実費支給とすることを予定しており、運用面における各府省の裁量が拡大する中で、財務大臣が各庁の長に対して、法律の執行状況に関する資料や報告を求め、実地監査を行い、必要な措置を求めることができるようにすることとしている。こうした仕組みの導入により、旅費の不正防止・冗費節約を図ることとし、今後とも、国費の適正な支出の確保に取り組んでいく。また、旅費法は国が国家公務員等に支給する旅費を規律する法律であり、今回の旅費制度の見直しは、全ての国家公務員に影響する内容である。加えて、地方自治体や民間企業は独自に旅費条例・規則を設けているが、実際には、国の旅費制度を参考にしているところが多いとも聞く。担当者としては、直接的・間接的に様々な方面にインパクトを与える制度の見直しに携わることができたこと、また、長期にわたり検討してきた内容を1つの形にすることができたことについては、万感胸に迫るものがある。しかしながら、財務省としては、政省令の制定・改正を行い改正旅費法の施行に向けた準備を進めるというミッションは勿論のこと、これまで以上に経済社会情勢等の変化に適時適切に対応し、旅費制度の円滑な運営を確保することが求められる。今回の改正旅費法の成立は、新旅費制度と共に歩む、終わりなき旅のスタート地点に立ったに過ぎない。政省令が公布された際には、改めて、この場を借りて紹介させていただきたいと思う。5.おわりに今回の制度見直しでは、旅費制度を根底から再検討することにより、約70年ぶりの抜本的な法改正を実現することができた。法改正の内容としては、“radical”や“空前絶後”といった評価を受けることもあったが、経済社会情勢の変化が激しい時代において、世の中の流れに合致した見直しをすることができたのではないかと考えている。※本稿内の意見に関する部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織の見解を表すものではありません。

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