*23) 横浜市財政局総務課市債係(2003)のp.38より抜粋。*24) 日本経済新聞(2010/5/14)「起債、横浜市が投資家との対話姿勢を強化 10年債に主幹事方式導入」より抜粋。*25) それ以前もいわゆる勝手格付けは付されていました。もっとも、勝手格付けについては2008年にR&IおよびJCRが格付けの付与をやめています。*26) ここでの説明は、日本経済新聞(2006/10/5)「横浜市、「国債と同等」格付け、S&Pから取得―資金調達有利に」などを参照しています。*27) https://www.chihousai.or.jp/08/h24_ir_pdf/37yokohama1.pdf図表7 横浜市市場公募債における「市場との対話」の歩み(出所)横浜市*27業者選定委員会』で選定するという手続きをとった」*23としています。現在の地方債の主幹事証券を決める上で、提案ベースで一定期間の主幹事証券を定めており、これはその原型といえるものです。全年限に主幹事方式を採用その後、横浜市はすべての年限の地方債に主幹事方式を導入します。図表7は全年限に主幹事方式を導入するまでの経緯を示していますが、2010年(平成22年)には最後に残った10年債も主幹事方式に変化させて、全ての年限・起債で主幹事方式を確立したとしています。報道では、「公募地方債の引き受け手である投資家との対話姿勢を強化」し、「2010年度から定例の10年債(固定の引受シンジケート団型)の発行に際し、企業が発行する社債と同じ主幹事方式を採用」しています*24。初回の発行に際しては、「地方債のスプレッドが縮小傾向にあるなか、より高いスプレッドを求める投資家の需要に応える形となった」としています(全年限の主幹事方式についてはBOXを参照してください)。横浜市は、発行後は市場実勢に応じて自由に売買できる「均一価格リリース」を宣言するとともに、プライシング方法についても、それまでは昼休み中に発行条件を決めていましたが、午前の取引中に条件を決める方法を取り入れました。これも今では普及した方式ですが(現在は当日の朝9時30分や10時に条件決定する傾向にあります)、プライシング等については紙面の関係で次回以降の論文で議論する予定です。今では、地方自治体が地方債を発行する際に格付けを取得することは少なくありません。日本の自治体で依頼格付けを初めて取得したのは、2006年に米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から格付けを取得した横浜市です*25。横浜市が格付けを取得した背景として、安定的で有利な資金調達を実現することもありますが、外部からの客観的な評価を取得することによる職員のモチベーション向上も指摘されています(また、竹中総務大臣(当時)の時に地方自治体が格付けを取得するハードルが低下したことを、このタイミングでの格付け取得に至った理由として挙げている報道もあります)*26。*27フレックス枠の拡大横浜市の特徴として、市場公募地方債発行の枠である「フレックス」の枠を拡大していく点も特徴です。 28 ファイナンス 2024 Jul./ÿ #$% !"&"ÿÿÿÿÿÿÿ'() *+,-.'() *+,-.0
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