2.3 市場公募地方債において主幹事方式が○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○(注)2023年4月1日~2024年3月31日時点までの発行実績。市場公募地方債を発行している団体が対象。(出所)野村證券資料より筆者作成シ団引受方式団体5年10年5年10年超長期定時償還債1北海道○2岩手県3宮城県○4秋田県5福島県○6茨城県○7栃木県8群馬県○9埼玉県○10千葉県○11東京都12神奈川県○13新潟県14富山県15石川県○16福井県17山梨県18長野県○19岐阜県○20静岡県○21愛知県22三重県23滋賀県24京都府○25大阪府○26兵庫県27奈良県○28和歌山県29鳥取県30島根県○31岡山県2006年度以降、より多くの年限の地方債の発行が行われたとしています。主幹事方式その他団体5年10年5年10年超長期定時償還債32広島県○33徳島県34高知県35福岡県36佐賀県37長崎県○38熊本県○39大分県40宮崎県○41鹿児島県○42札幌市○43仙台市○44さいたま市45川崎市○46千葉市○47横浜市48相模原市49静岡市50浜松市51新潟市52名古屋市53京都市○54大阪市55堺市56神戸市57岡山市58広島市○59北九州市○60福岡市○61熊本市引合方式シ団引受方式主幹事方式その他2年幹事方式図表2 市場公募地方債を発行する各団体の発行方式一覧*7) 持田・林(2018)は、第3章で「2000年代には発行年限の多様化も進むこととなった」(p.65)としており、個別条件交渉方式に全面的に移行した普及した背景比べ、地方債の場合は、発行規模が大きく、また、発行頻度も多いことから、事務等を担うトップレフトを半年間や1年間など継続させたほうが事務効率が高いこと等が背景にあります。もっとも、例えば、東京都のようにその都度主幹事証券を定める事例もあります(事業会社が社債を発行する場合は、通常、その都度、主幹事証券を選定します)。従来、地方債のうち5年債と10年債についてはシ団引受方式が取られてきました。そのため、現時点における市場公募地方債市場でも、引き続き同年限についてはシ団引受方式が普及しています。一方で、2000年代から発行年限の多様化も徐々に広がってきたところ*7、20年・30年債などの超長期債については、主幹事方式を採用する地方自治体も増加してきました。図表2は、2023年度における各自治体の発行方法を比較したものです。この図表をみると、現時点における発行方式は主にシ団引受方式及び主幹事方式が用いられていることがわかります。また、5年・10年債の多くでシ団引受方式が用いられている傾向がある一方で、超長期債については主幹事方式が用いられていることがわかります。市場公募地方債の年限は、従来は、5年・10年が中心(中期債が中心)でした。理由としては、銀行は負債サイドの年限が短いことから、ALM(Asset Liability Management)の観点からは資産サイドも負債と同程度の年限が好まれることもあり、5年・10年は地元の地銀などが投資しやすい年限であったからです(銀行のALMについては服部(2023)の6章などを参照)。その一方、主幹事方式は、20年債などの超長期債を発行することが必要になる中で、普及した発行方法とみることもできます。 24 ファイナンス 2024 Jul.
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