ファイナンス 2024 Jul. 132024年IMF・世界銀行春会合およびG20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要 5 日米韓財務大臣会合 (2024年4月17日)IDAを通じて低所得国による地球規模課題への対応を支援する緊急の必要性も忘れてはならないとし、マネジメント及び借入国と共に、強固なIDA第21次増資(IDA21)に向けて貢献していく姿勢を示した。2023年8月に米国・キャンプデービッドにて行われた日米韓首脳会談にて、日米韓財務大臣会合の開催が合意されたことを受け、3か国の財務大臣が参加するIMF・世銀春会合の機会に、米国財務省にて、初の日米韓財務大臣会合が開催された。本会合では、米国のイエレン財務長官が議長を務め、日本の鈴木財務大臣、韓国のチェ経済副総理兼企画財政部長官が出席し、対ロシア・北朝鮮制裁、経済的威圧や過剰生産能力等の非市場的慣行及びサプライチェーンの脆弱性への対応、太平洋島嶼国支援、MDB改革等G20における協力等について議論を行った。会合終了後には、議論の成果をまとめた共同声明を発出した。共同声明は、基本的価値観を共有する日米韓3か国の経済関係の重要性を示すものとなっている。まず、世界経済について、開かれた公正な経済慣行を通じて、インド太平洋地域及び世界にとって好ましい機会と繁栄の継続を追求することや、持続可能な経済成長及び金融の安定並びに秩序立った、良好に機能する金融市場を促進するために引き続き協力していくことに合意した。為替については、足元の状況に鑑み、「最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」ことに合意した。対ロシア・北朝鮮制裁に関しては、北朝鮮の弾道ミサイルのロシアへの輸出及びロシアによる調達を強く非難し、直ちに停止するよう求めた。また、サプライチェーンの脆弱性と、経済的威圧や主要部門における過剰生産能力を含む他国の非市場的慣行による我々の経済へのあり得べき損害に打ち克つための協調の重要性を強調するとともに、RISEパートナーシップ等を通じたサプライチェーンの強靱化に共に取り組むことに合意した。さらに、重要な地球規模課題により良く対応できるよう、MDB改革等において協力することや、ASEAN及び太平洋島嶼国の重要性を再確認し、同地域におけるマクロ経済と金融の強靱性・健全性の強化に向けて協力することに合意した。最後に、日米韓3か国の経済の強化及び世界経済の繁栄を促進するため、引き続き協力することを確認し、上記の合意を前進させるため、事務方での取組を継続することとなった。国際情勢が一層複雑化する中、日米韓3か国の緊密な対話と連携は非常に重要である。3か国で率直な議論が行われた結果多くの成果が得られ、大変有意義な会合となった。
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