*3) 開発をめぐる諸問題について、世界銀行・IMFに勧告および報告を行うことを目的として1974年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第109回目。(2024年4月19日)の取組を支援してきたIMFの低所得国に対する能力開発支援について、太平洋島嶼国地域との更なる協力関係の強化に向け、太平洋金融技術支援センター(Pacific Financial Technical Assistance Centre:PFTAC)に対して6百万ドルの追加貢献を行うことを表明した。IMFCにおける議論の結果は、加盟国間の共同声明(コミュニケ)として発出されることとなっているが、2021年10月の会合以来、コミュニケは発出されていない。今回のIMFCにおいても、各国間で粘り強い交渉と調整が続けられたが、声明冒頭の地政学的要因に関する文言について加盟国間での合意が得られず、「ウクライナにおける戦争、ガザにおける人道危機、紅海における海運上の混乱を含む、現在の戦争や紛争による、世界経済へのマクロ経済面、金融面での影響について議論した」と冒頭に記載する形で、議長声明での発出となった。他方で、声明冒頭以外については、「進行中の戦争及び紛争は世界経済に大きな負担を課し続けている」という文言を含め、各国間で合意がなされている。また、クォータについては、第16次クォータ見直しの下での50%増資の発効に向けて、本年11月の期限までに各国が国内手続きを完了するよう迅速に取り組むことに合意するとともに、次回の第17次クォータ見直しの下で、計算式の見直しを含む幅広いアプローチを来年6月までに取りまとめるよう取り組むことを再確認した。そのほか、IMFの各種融資制度の見直しや、本年の理事選挙においてサブサハラ・アフリカ地域から25番目のIMF理事を設置すること等、IMFの機能・ガバナンスの強化についても、引き続き取り組むことを再確認した。このほか、先般決定したゲオルギエヴァ現専務理事の再選について、各国から歓迎の声があった。世界銀行・IMF合同開発委員会*3では、世銀改革について議論が行われた。世銀改革とは、地球規模課題への対応強化を目的に、世界銀行のビジョンとミッション、業務モデル、財務モデルの見直しを図る一連の取組のことで、2023年4月以来、3回連続で議題に設定された。以下、成果文書の概要について紹介したい。今回は、上述のIMFCと同様の経緯によりコミュニケ発出の合意には至らず、前回に引き続き議長声明としての発表となった。同声明では、前回会合以降の世銀改革の進展を勇気づけられるものとし、世銀銀行グループの成果の新しい測定手法であるWBGスコアカードの公表などが歓迎された。また、支援量や金利によるインセンティブの提供を通じ、国境を越えて外部性を有する地球規模課題への対応を促進する枠組みである「資金インセンティブのためのフレームワーク(FFI)」の開始が評価された。さらに、民間資金動員の観点から、世界銀行グループの保証業務の集約化、簡素化を図るWBG保証プラットフォームの開始に期待が示された。次回会合に向けては、世銀改革の実施について総務に報告するよう期待が示された。さらに、理事会及びマネジメントに対し、世銀改革の実施に係る報告を提出した後には、国際復興開発銀行(IBRD)の財務能力と世界銀行グループのビション及びミッションとの整合性を評価するよう求めた。また、最も貧しく脆弱な人々のニーズに対処するため、野心的な成果をもたらす国際開発協会(IDA)第21次増資の成功に対しコミットがなされ、そのためには、既存及び新規のドナー、支援対象国、並びに世銀による確固たる努力が必要であることが確認された。日本国ステートメントでは、ロシアによるウクライナ侵略を非難しつつ、ウクライナやガザ情勢を含む地政学的危機に対する日本の世界銀行グループを通じた支援を紹介、同グループによる役割・貢献への期待を示した。また、世銀改革の進展を高く評価しつつ、財務面の取組としてFFIの開始を支持、日本として、パンデミックの予防・備え・対応を含む地球規模課題への支援を念頭に、ポートフォリオ保証プラットフォームに対し10億ドルの拠出を行い、融資余力の拡大に貢献することを表明した。加えて、IBRD卒業所得未満の支援枠の設立を条件に、譲許的資金の裏付となる20百万ドルの拠出を表明した。最後に、IBRDに加え、 12 ファイナンス 2024 Jul.4 世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)
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