ファイナンス 2024 Jul. 112024年IMF・世界銀行春会合およびG20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要 *2) 国際通貨金融委員会(IMFC)は、国際通貨および金融システムに関する諸問題について、IMF総務会に助言および勧告を行うことを目的として、1999年に前身であるIMF暫定委員会を常設化・改編することで設置された。通常春と秋の年2回開催。各IMF理事選出国・母体を代表する大臣級の委員24名から構成される(現在の議長はサウジアラビアのアルジャドアーン財務大臣。日本からは鈴木財務大臣がIMFC委員として参加)。(2024年4月17〜18日)(2024年4月18日〜19日)債務問題については、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法で「共通枠組」の実施を改善していく必要性を確認し、スリランカとの覚書の最終化に向けた作業の進展を歓迎するとともに、全てのステークホルダーに対し、データ共有の取組を通じた債務透明性の向上を要請した。IMFについては、第16次クォータ見直しの完了を歓迎した。会議において日本から、IMF増資に応じるための法案が国会で成立した旨を説明した。国際課税においては、「2本の柱」の解決策の実施を最優先事項として、本年6月末までの多国間条約署名への強いコミットを再確認しつつ、国連での議論に際しては全会一致で議論を進めること等の重要性を強調した。上記の通り、G7間で率直な議論が行われた結果、多くの成果が得られたものと考えている。今回のG20は、2024年2月28~29日にサンパウロで開催された会議に続く、ブラジル議長下における2回目の大臣・総裁級の会議となった。今回の会議では共同声明は発出されていない。初日の「公正な移行と気候変動目標に向けたファイナンス」セッションにおいては、途上国の気候変動対応への資金動員等について議論を行った。議論の中では、MDBsの融資余力拡大や、既存の気候変動関連基金による支援の効率化、関係者間の連携強化、民間資金動員や国内資金動員の強化などの重要性が確認された。また、融資余力拡大に資する日本の貢献として、革新的な金融手法である世銀のポートフォリオ保証プラットフォームやADBのIF-CAPへの信用補完の供与(それぞれ10億米ドル、6億米ドル)を行うことを紹介した。2日目の「21世紀のための国際金融アーキテクチャー」セッションにおいては、MDB改革等に関して議論が行われた。議論の中では、MDB改革に関して、「より良い、より大きい、より効果的なMDBs」の実現に向けた民間資金動員の促進や融資余力拡大のための自己資本十分性に関する取組(CAFレビュー)の継続的な実施のほか、国際開発協会(IDA21)やアジア開発基金(ADF14)といった低所得国支援のための譲許的基金における資金の確保の重要性について認識が共有された。加えて、債務問題に関して、日本から「共通枠組」を含む債務再編のタイムラインとプロセスを明確化し、予見可能性の向上を図る必要性を主張するとともに、債務データ突合のためのデータ共有の取組への全G20メンバーの参加を働きかけた。IMFに関しては、第16次増資の早期発効が最優先であることを確認するとともに、日本からは、IMF増資に応じるための法案が既に国会で成立したことを説明した。このように、今回のG20において、重要な論点について、我が国の取組を紹介し、建設的な議論を交わすことができた点は有意義であったと思われる。IMF・世銀春会合の終盤である4月18日から19日にかけて、第49回国際通貨金融委員会(IMFC)*2が開催され、日本からは鈴木財務大臣と植田日銀総裁が出席した。今回のIMFCは、本年1月にサウジアラビアがIMFC議長国に就任して以来、初の会合であった。会合では、世界経済の動向と見通し、IMFや加盟国が取り組むべき課題について議論が行われた。日本からは、世界経済に対する認識や為替に関する立場について発言したほか、世界経済が様々な課題に直面する中、グローバル金融セーフティネット(GFSN)の中心であるIMFがその対応に一層貢献できるよう、引き続きIMFの強化を進めるべきであることを主張した。具体的には、昨年12月に合意された第16次クォータ増資の速やかな発効がIMFの最優先課題であるとして、増資に応じるためのIMF加盟措置法改正法案が今回のIMFCに先立って4月12日に可決されたことを報告するとともに、各国の国内手続の迅速な完了を呼び掛けた。このほか、日本が長年に亘りそ2 G20財務大臣・中央銀行総裁会議 3 第49回国際通貨金融委員会(IMFC)
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