ファイナンス 2024年7月号 No.704
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*1) 強■で包摂的なサプライチェーンの強化(Resilient and Inclusive Supply-chain Enhancement, RISE)に向けたパートナーシップ:2023年のG7議長国として日本が策定を主導し、2023年10月に世銀や同志国とともに立ち上げた、低・中所得国への支援を通じてクリーンエネルギー関連製品のサプライチェーン強靭化を図るイニシアティブ。巻頭文2024年4月17日から4月19日にかけて、米・ワシントンにおいて、G7財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)、国際通貨金融委員会(IMFC)、世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)、日米韓財務大臣会合等の国際会議が開催された。これらの会議は、第79回IMF・世銀春会合に合わせて開催されたものである。1  G7財務大臣・中央銀行総裁会議 以下本稿では、各会議での議論の概要を紹介したい。今回のG7は、2024年2月28日にサンパウロで開催された会議に続く、イタリア議長下における2回目の大臣・総裁級の会議となった。今回のG7においても、日本議長下に続き、ウクライナのマルチェンコ財務大臣の対面での参加も得て、ウクライナ支援等について議論を行い、会議後、議論の成果をまとめた共同声明を発出した。以下、発出された共同声明の概要について紹介したい。世界経済は、最近の複合的なショックに対する強靱さを見せ、リスクはよりバランスしてきているが、成長見通しは過去の平均より低いとの認識を共有し、為替を含む過去のG7における政策対応に関するコミットメントを再確認した。併せて、ロシアによるウクライナへの侵略や中東情勢などの地政学的要因が世界経済のリスクであるとの認識を共有し、ロシアを非難するとともに、侵略の即時終結を求めることを確認した。また、ハマスによるテロ攻撃に端を発するガザにおける人道危機についても懸念を表明した。ロシア制裁・ウクライナ支援については、ウクライナに対する揺るぎない支援を再確認した。日本からのグラントによる財政支援、日本の信用補完も活用した世銀融資、追加支援(世銀融資に対する追加の信用補完)を含む予算の成立などにも言及がなされている。また、ロシア制裁を継続し、制裁の回避に対抗していくことを確認した。凍結されたロシアの国家資産の活用策に関しては、G7首脳声明を踏まえ、本年6月のG7プーリア・サミットに向けて、国際法及び各国の法制度に整合的な形で、凍結されたロシアの国有資産がウクライナを支援するために活用され得る全ての可能な方策について、関係各国で緊密に連携しつつ議論を続けていくことで合意した。国際保健については、パンデミックへの「予防・備え・対応」(PPR)を強化するための取組を、昨年5月に合意された「財務・保健の連携強化及びPPRファイナンスに関するG7共通理解」に基づき進めることで一致を見るとともに、対応資金(Response financing)のための革新的なメカニズムの検討を継続することや、財保連携の重要性を再確認した。気候変動については、OECDによる炭素削減アプローチに関する包摂的フォーラム(IFCMA)の作業を支持するとともに、クリーンエネルギー関連製品等の強靱で包摂的なサプライチェーンの強化に向けたパートナーシップ(RISE)*1の進展に期待を表明した。MDB改革については、G20における「より良い、より大きい、より効果的なMDBs」の実現やCAF提言の更なる実施を含む議論を歓迎し、低所得国を支援する国際開発協会(IDA21)やアジア開発基金(ADF14)の強固な増資への支持を表明した。 10 ファイナンス 2024 Jul.国際機構課長 木原 大策/係長 舟木 健/係員 西﨑 恵理奈開発機関課長 津田 尊弘/係長 片山 周一国際調整室長 齊藤 郁夫/係員 阿部 南海(2024年4月17日)2024年IMF・世界銀行春会合および G20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要

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