三重県桑名市スマートシティ推進課 課長中西 伸也バーチャルの協定式の様子より快適で効率的な市民サービスを実現するため、本年1月から「書かないワンストップ窓口」の運用を開始しました。市民がライフイベントごとに必要な手続きをワンストップで済ませられ、申請書類の記入も不要になりました。これにより市民の利便性が向上し、行政の手続き時間も大幅に短縮されます。今後はこのシステムを拡充し、地区市民センターなどの出先機関からでもリモートで手続きできるようにする予定です。申請手続きのオンライン化と合わせて「行かない窓口」の実現を目指し、既存の枠組みにとらわれずに市民の利便性向上と行政の効率化を追求していきます。1.はじめに桑名市は三重県北部に位置する人口約14万人の都市です。面積は約137km2で、平成16年に桑名市、多度町、長島町が合併して誕生しました。地形は山地・丘陵地帯と伊勢湾沿岸の平野・水郷地帯で構成されており、主な産業は農業、水産業、商業、工業などが中心です。豊かな観光資源に恵まれ、年間1,200万人が訪れています。人口減少や高齢化といった地域課題に直面しながらも、地方創生に向けてDX(デジタル・トランスフォーメーション)や公民連携の推進など、多くの施策に取り組んでいます。特にDXと公民連携の積極的な推進は、市民サービスの向上と行政の効率化を実現し、市民のWell-beingの向上につながる重要な鍵となっています。本稿では、令和5年度に実施した取り組みを中心に、本市のDXの取り組み事例や公民連携の施策についてご紹介します。2. DXで生まれ変わる市民サービス 「書かないワンストップ窓口」本市の特徴的なDXの取り組みとして、本年1月に大日本印刷株式会社と連携協定を締結し、メタバース空間上に「メタバース役所」と呼ばれる仮想桑名市役所を設置する実証実験を実施しました。この「メタバース役所」では、市民が自宅や遠隔地から電子申請の手続きサポートや各種相談、交流会への参加が可能で、物理的・身体的制約を取り除いた新しい行政サービスの可能性を探る試みです。民間企業の持つ仮想空間の構築と運営ノウハウ、また、業務プロセス改革の知見やセキュリティ技術を活用しながら、誰一人取り残さないデジタル社会の実現を目指す取り組みの一環です。常に時代の変化に対応し続けることで、市民サービスの向上と暮らしやすいまちづくりを推進します。公民連携の施策のひとつとして、スタートアップとの連携によって地域資源を生かした新しい価値創造を 62 ファイナンス 2024 Jun.3. DXの新たな一歩 4. 地域資源とスタートアップの「メタバース役所」実証実験共創で新しい価値を創造スマート自治体への 転換と地方創生桑名市
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