ファイナンス 2024年6月号 No.703
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*5浅井:研究官・総括主任研究官を務められていた当時の財務総研の雰囲気をお聞かせください。研究官、総括主任研究官のそれぞれの任期で、財務総研の印象の違いなどはございましたでしょうか。林:財務総研ではどのような業務、研究に携わっていらっしゃいましたか。浅井:財務総研離任後の財務省との関係性についてお聞かせください。*5) フィナンシャル・レビューとは、財務総研が編集・発行している学術論文誌です。詳しくは「ファイナンス」令和6年3月号の「PRI Open Campus」をご覧ください。研究官のその後をご紹介する意味で、約20年前に研究官を務められた、早稲田大学の別所俊一郎教授(以下、別所先生)のお話を伺って参りました(2024年3月)。別所先生は、2003年7月から2006年3月までの2年9か月間、財務総研の研究官としてお勤めされました。その後、2006年4月より一橋大学、2011年10月より慶應義塾大学、2017年1月より東京大学とキャリアを重ね、2017年4月から2019年3月まで再び財務総研で総括主任研究官を経験されたのちに、2023年4月より現在の早稲田大学政治経済学術院の教授になられています。今回のインタビューでは、研究官当時のエピソードやその後のご活躍とともに、約20年前の財務総研の様子についても教えていただきました。別所先生:私が在籍していた頃の財務総研は、執務室の中で会話が飛び交っている賑やかな職場でした。特に研究官の時は、他の研究官や研究員も含めて同世代の職員が多かったので、若手同士が和気あいあいとした雰囲気で仕事をしていました。今でも当時一緒に仕事をしていたメンバーから飲み会のお誘いを受けることもあります。別所先生:研究官時代には、国際交流室(当時。現、財務総研国際交流課)のプロジェクトで、中国の国務院との共同研究を行いました。当時中国では沿海部と内陸部の地域格差や地方債に対しての問題意識があり、「日本の地方財政制度を知りたい」という要望を受け、日本国内の地域視察も行いました。日頃の業務の中では、財務省の制度の細かい部分や組織の動き方などの実務について、疑問に思った際にすぐに職員に確認して解決できる点はありがたいなと思っていました。別所先生:研究官等として在籍していた頃の人間関係が継続していることもあり、財務総研とは今でも業務上の関わりがあります。財務総研離任後の今も国際交流課の開催するセミナーの講師やコメンテーターを務めたり、財政経済理論研修の講師や論文執筆の指導教官を引き受けたりしています。PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 32ファイナンス 2024 Jun. 55[インタビューの様子]【特別インタビュー】別所俊一郎先生に聞く:20年前の財務総研とは?総括主任研究官のときは教育に関する研究を行っていました。当時は国内で給付型奨学金の拡充についての議論があり、世界の先例を見ようとドイツやイギリスの高等教育のあり方についてヒアリングに行きました。また、省内向けの研修で講師を務めたり、責任編集者や翻訳者としてフィナンシャル・レビュー*5の刊行に携わったりもしました。

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