ファイナンス 2024年6月号 No.703
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○ 事業別フルコスト情報の把握と開示について(令和3年1月25日財政制度等審議会 財政制度分科会法制・公会計部会)(抜粋)3 事業別フルコスト情報を作成すべき事業類型コスト情報の活用等の観点から、以下に該当する事業について事業別フルコスト情報を作成することが適当である。(1)補助金・給付金事業型補助金・給付金事業型とは、国が国以外の者に補助金その他の給付金等を交付等する事業をいう。(2)受益者負担事業型受益者負担事業型とは、国等が特定の者に提供する公の役務に対する反対給付として手数料等を徴収することとしている事業をいう。(3)その他事業型その他事業型とは、上記(1)又は(2)に該当しない事業型であって、行政活動の効率化・適正化の検討や、予算のPDCAサイクルへの活用等に有用と考えられる事業として、下記に該当するものをいう。(以下略)4  事業別フルコスト情報を作成する事業の選定 ファイナンス 2024 Jun. 29概 要財務省主計局法規課公会計室では、行政活動の効率化・適正化や国民の行政活動への理解促進を目的として、省庁別財務書類の業務費用計算書を基にした発生主義ベースの情報である「事業別フルコスト情報の開示」の取組を、平成26年度分から令和元年度分までの試行的段階を経て、令和2年度分から本格的に実施している。その上で、本格的な取組の実施3年目となる令和4年度分では、事業別フルコスト情報(ダイジェスト版)の改訂を実施した。本稿では、そもそも事業別フルコスト情報の開示とはどのような取組か、令和4年度分にどのような改訂を実施したか、また改訂を踏まえた分析や今後の取組について以下解説する。事業別フルコスト情報とは事業別フルコスト情報は、国が行政サービスを提供するに当たり、その事業のトータルコスト(人にかかるコスト、物にかかるコスト及び事業コスト)を把握することで行政活動の効率性及び適正性を向上させるとともに、それを分かりやすく開示することで国民の行政活動に関する理解を促進させることを目的としており、その算定方法は図表1のイメージとなる。また、事業別フルコスト情報は、後述の「事業別フルコスト情報の把握と開示について」(抜粋)のとおり、コスト情報の活用等の観点から、図表2の3つの事業類型(補助金・給付金事業型、受益者負担事業型、その他事業型)に該当する事業について作成され、それら3つの事業類型は、それぞれ国が直接実施する事業(単独型)と、独立行政法人等の外部機関を通じて実施する事業(外部機関利用型)に区分される。なお、事業別フルコスト情報の作成対象となる事業は、各省庁の各部局が、この事業実施区分ごとに代表的な事業を選定し、作成公表している。方法事業別フルコスト情報は、原則として各部局(本省内部部局(大臣官房を除く。)及び外局をいう。以下同じ。)ごとに、各事業類型に該当する事業のうち、単独型及び外部機関利用型のそれぞれについて、事業コストの金額が最も大きい事業を選定することが適当である。ただし、行政活動の効率化・適正化の検討や、予算のPDCAサイクルへの活用等の観点を踏まえ、他に有用と考えられる事業がある場合は、上記事業に代えて選定することが適当である。(以下略)主計局法規課公会計室課長補佐 川中 啓輔令和4年度 事業別フルコスト情報の改訂▶経年比較・横断比較情報の見える化

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