5年債 図表7 入札の結果10年債発行月銘柄条件決定日令和6年4月3日発行月銘柄条件決定日令和6年4月10日発行価格償還価格発行価格償還価格利率応募者利回り0.793%利率応募者利回り0.418%(注)償還期限が銀行休業日にあたる場合、その前営業日に繰り上げます。また、この場合、最終の利払いが6ヶ月に満たないため、日割により利息を計算します。詳しくは、(出所)大阪府4月第497回4月第212回購入される金融機関にお問合せ下さい。発行日令和6年4月26日発行額(億円)発行日令和6年4月26日発行額(億円)100100償還期限令和16年4月26日利払日償還期限令和16年4月26日利払日10月、4月の各26日10月、4月の各26日100円100円100円100円0.793%0.418%*18) 日本経済新聞(2007/4/19)「地方公募債発行方式、兵庫県、入札中心に―今年度から、利率を抑制」を参照。*19) イールド・ダッチ方式の入札により公募地方債を発行したことがある自治体として愛知県(5年債)、神奈川県(20年債)、川崎市(15年債)、名古屋市(5年債)、兵庫県(5年債・10年債)、福井県(5年債)、福岡県(5年債)等が挙げられます。もっとも横浜市(5年債)における総額引受方式(最も低い利率を呈示した金融機関がその利率で全額を落札する仕組み)など、他方式の入札実施事例もないわけではありません。(参考)下記を参照https://www.chihousai.or.jp/08/pdf/ir_h21_10_29_02.pdfhttps://www.city.kawasaki.jp/230/cms■les/contents/0000001/1254/1226hokokusho.pdfhttps://www.pref.fukui.lg.jp/doc/zaisei/2403koubosaikettei_d/■l/003.pdfhttps://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/680136_61692269_misc.pdfhttps://www.jsda.or.jp/about/gaiyou/gyouhou/04/0409/■les/0402.pdfるインセンティブを与えていることになり、したがって入札における金利が低くなる可能性があります。このように入札の際、落札の割合に応じて別の形での落札も認める仕組みは、財務省が実施している「国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)」でも用いられています。例えば、プライマリー・ディーラーには落札義務がある一方、一定の権利やオプションが与えられています。その代表例が非価格競争入札ですが、非価格競争入札についても、入札の結果で定まった価格で購入するという点では一定の類似性はあります。ただし、財務省が実施する非価格競争入札の場合、あくまで入札で決まった結果でプライマリー・ディーラーが購入するという「オプション」であり、大阪府の場合とは異なり、プライマリー・ディーラーはこの権利を行使しなくてもよいという点が大きな違いです。大阪府はシ団メンバー(すなわち入札参加者)とは定期的に会議などを通じて、コミュニケーションをしています。国債と同様、大阪府の場合も、その入札結果はウェブサイトで開示されています。図表7に大阪府が実施した入札結果の例が記載されていますが、100円発行となっている点が特徴です(これは多くの地方債に共通した特徴です)。表面利率の記載がありますが、100円発行なので、利率は利回りと解釈できます(図表7でも利率と応募利回りが一致していることが確認できます)。なお、応募額についてはウェブ上での開示はありません。入札の方法はダッチ方式であるため、落札者全員が同じ価格で購入する点も特徴です。図表7であれば、落札者全員が利率0.793%の10年債を100円で購入することになります。図表8が東京都と比較した利回りの推移です。これは発行時のタイミングであり、東京都と大阪府は、発行のタイミングが異なる点に注意が必要ですが、東京都より低い金利になっていることもしばしば見受けられます。3.市場公募地方債における入札の事例3.1 市場公募地方債における入札方式の事例前節では大阪府の引合方式を取り上げましたが、この方式の特徴は入札と同時にシ団引受も行う点です。市場公募地方債の発行に関し、入札のみを実施する方式については、筆者らの理解では現在の地方自治体では採用されていませんが、かつては北海道や兵庫県*18などで実施されており((財)地方債協会, 2010)、その大宗はイールド・ダッチ方式で発行されていました*19。 26 ファイナンス 2024 Jun.2.3 入札の結果
元のページ ../index.html#30