(出典)財務省ホームページ、総務省ホームページ*4*1) 本稿の意見に係る部分は筆者らの個人的見解であり、筆者らの所属する組織の見解を表すものではありません。本稿の記述における誤りは全て筆者らによるものです。また本稿は、本稿で紹介する論文の正確性について何ら保証するものではありません。本稿にコメントをくださった多くの方々に感謝申し上げます。*2) 客員研究員*3) 特任准教授*4) https://www.mof.go.jp/policy/■lp/summary/■lp_local/tihousaiseidonogaiyou.htm *5) 下記を参照。 図表1 地方債の引受先の資金面に係る分類及び令和6年度地方債計画財政融資資金(2.3兆円)地方公共団体金融機構資金(1.6兆円)(国の予算等貸付金)市場公募資金(3.3兆円)銀行等引受資金(2.0兆円)公的資金地方債計画民間投資金(注記)ここでは個別債を表示しており、共同発行債については省略しています。(出所)総務省資料等を基に筆者作成1952東京都、大阪府、兵庫県横浜市、名古屋市、京都北海道、神奈川県、静岡県、愛知県、広島県、福岡県19731975宮城県、埼玉県、千葉県、1982広島市1989茨城県、新潟県、長野県仙台市千葉市19942003さいたま市2004福島県、群馬県、岐阜県、2005鹿児島県2006島根県、大分県2007山梨県、岡山県2008栃木県、徳島県2009奈良県、福井県2010三重県2011滋賀県、長崎県20122013高知県、佐賀県2015秋田県2019宮崎県2020和歌山県、鳥取県2021富山県2022岩手県2023石川県京都府熊本県都道府県政令指定都市市、大阪市、神戸市札幌市、川崎市、北九州市、福岡市静岡市堺市新潟市、浜松市岡山市相模原市熊本市発行団体数(累計)162223272829333538424447495152545556575960618https://www.soumu.go.jp/main_content/000919094.pdfhttps://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei05_02000225.html図表2 市場公募地方債発行団体とその累計(個別債)1.はじめに地方債とは、地方公共団体が財政上必要とする資金を外部から調達することによって負担する債務で、その履行が一会計年度を超えて行われるものをいいます。もっとも国債に比べて、地方債の理解は難しく、その一因として、一口に地方債といっても、いわゆる有価証券を指す「債券」だけでなく、ローンなどの形式が用いられることが挙げられます。図表1にもある通り地方債の引受先は財政融資資金、地方公共団体金融機構資金、銀行等引受資金、市中公募資金に大別され、いわゆる債券に相当する市中公募資金(市場公募債)が大宗を占める訳ではありません。このように様々な地方債がある中、本稿では、地方債の中でも市場公募地方債に焦点を当て、その起債方法である入札方式の理解を深めます(本稿で地方債と記載した場合、市場公募地方債を指すため注意してください)。図表2は市場公募地方債の発行団体を示していますが、戦後から徐々に数が増え、2024年4月時点で61団体*5に至っています。国債については主に入札により発行がなされており、歴史的にはシ団方式から徐々に入札方式に移行しました(詳細は齋藤・服部(2023)を参照)。国債がその大宗を入札に依っているのに対して、市場公募地方債の場合は近年、(1)入札方式、(2)シ団方式、(3)主幹事方式、またはこれらを混合した方式(引合方式、幹事方式、融合方式)が用いられており(図表3)、筆者らが知る限り、入札のみを用いている自治体は現在、存在しません。 22 ファイナンス 2024 Jun.財務総合政策研究所 石田 良*2/東京大学 服部 孝洋*3引合方式入門―大阪府債の事例―*1
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