ファイナンス 2024年6月号 No.703
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:改正により権利侵害となることが明確化された行為※事業性のない者は罰則の対象外:改正前から権利侵害とされていた行為事業者海外日本※旅客の携帯品については従来の取扱いと同じ事業者29.3%ファイナンス 2024 Jun. 7個人個人 改正商標法及び意匠法の概要郵送等で持込み輸入譲渡等令和4年令和5年前年比構成比認定手続開始件数32,03332,869102.6%100.0%5,1855,304102.3%16.1%26,84627,565102.7%83.9%4,3253.9%1,267大幅に減少輸入者が「争う旨の申し出」を行った件数通常手続簡素化手続争う旨の申し出令和4年10月に改正商標法・意匠法・関税法が施行され、海外の事業者が郵送等により国内に持ち込む模倣品(商標権又は意匠権を侵害するもの)は、個人使用目的で輸入されるものであっても、税関の水際取締りの対象となった。以前は、国内にいる輸入者の事業性の有無が商標権等の侵害行為にあたるか否かのポイントになり、輸入者に事業性があればその輸入行為は商標権等の侵害にあたるとされていたが、事業性がない場合、いわゆる個人使用目的による模倣品の輸入行為は、商標権等の侵害にはあたらなかった。しかし、越境電子商取引(越境EC)の急速な拡大により、海外前記のとおり、令和5年の知的財産侵害物品の輸入差止件数は31,666件であり、前年と比較し17.5%増加したが、そのうち輸入者が疑義物品の侵害の該否について「争う旨の申し出」を行った件数は1,267件で、前年と比較し大幅に減少(前年比70.7%減)した。これは、改正商標法・意匠法・関税法の施行によって、個人で使用する場合であっても海外の事業者が郵送等により日本国内に持ち込む模倣品は輸入できなくなったため、相当数の輸入者が争うことを断念に所在する模倣品業者が、ECサイト等などを利用して、日本国内の個人に少量の模倣品を直接販売し郵便等の手段で送付するといった、いわゆるBtoCの取引形態で模倣品を送付する事例が急増していた。こうした状況に対応するため、商標法、意匠法及び関税法の改正により、海外の者に事業性があり、その者が模倣品を郵送等で国内に持ち込む行為について、権利侵害行為に該当することが明確化され、海外事業者によって持ち込まれた模倣品は、たとえ国内にいる輸入者に事業性がない場合、つまり個人使用目的で輸入する場合であっても、侵害物品に該当することになった。したと受け止めることができ、このことが輸入差止件数の増加の一因になっていると考えられる。よって、これまで税関で差し止められなかった模倣品の流入が水際で阻止できているものとして、法改正の効果が表れていると考えられる。水際取締り強化「争う旨の申し出」件数が大幅に減少海外の事業者を仕出人とする海外の事業者を仕出人とする模倣品の水際取締り強化模倣品の水際取締り強化

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