(2023年11月14日・於 プノンペン)2023年11月、第1回セミナー開催時に聴取したニーズを踏まえ、創業支援をテーマに再び現地でセミナーを開催しました。本セミナーでは、財務総研の職員から創業支援の政策的意義等を説明したうえで、日本公庫の職員から日本における創業の状況や日本公庫による支援内容、収支予測・資金調達等の創業計画のポイント等についての講義を実施しました(図表3)。受講者には、創業支援の業務経験が浅い方も多く含まれました(図表4)が、創業者の融資相談にどのように対応するべきかという切り口を中心に、実務的な質問が数多く寄せられました。受講者向けアンケートでは、前回セミナーと同様、非常に高い評価が得られました*12。また、SME BankのNeav Sokun COOからは、以下のコメントを頂き、カンボジア政府の意向にも即したタイムリーな支援を実施できたことを伺い知ることができました。➢ 実務に役立つ内容であった。とりわけ、日本公庫から提示された創業計画書のフォーマットやチェックポイントは、SME Bankの業務にも直接活用できる。➢ カンボジア政府が推進している観光業支援*13の対象には創業企業も含まれるため、今回学んだノウハウを積極的に活用したい。➢ SME Bankは政府系金融機関としてプレゼンスの発揮が求められる状況にあるが、その役割について理解が浅い職員もおり、財務総研による政策金融をテーマとしたセミナーは職員の意識づけに有益であった。*14*15全く経験がない数回経験したのみ月1回程度週1回以上(図表3)創業支援セミナーの概要▲創業支援セミナーの模様(2023年11月)(図表4)受講者の業務における創業企業向け融資審査の頻度*1561.3%3.2%25.8%9.7%*12) アンケート回答者(31名)の96.8%が、5段階評価(大変満足・大体満足・普通・やや不満足・不満足)において、「大変満足」または「大体満足」と回答。*13) カンボジア政府の中小企業支援政策の動向については、項番4参照。*14) 2019年、カンボジア政府は創業支援を担う公的機関としてKhmer Enterprise及びTecho Start-up Centerを設立。前者はスタートアップ企業に対して金融・非金融の両面での個別支援等を行うのに対し、後者はデジタルプラットフォームの運営等、スタートアップ企業・投資家・政府系機関等の関係者間でのネットワーク構築等を行う。*15) 受講者向けアンケート(SME Bankの職員31名が回答)における、「創業企業(創業前又は創業後2年以内の企業)への融資審査にどれくらいの頻*16) 民間の各業界団体から政府への規制緩和要望がなされ、その対応を首相等から説明する会議。日程2023年11月14日場所プノンペン(SME Bank本店)合計33名(SME Bankの職員31名のほか、カンボジアのスタートアップ企業向け公的支援機関*14であるTecho Startup Centerの職員2名)・財務総研国際交流課の取組みと日本の政策金融・日本公庫の創業支援の取組み・創業計画のポイント 等受講者講義内容度で携わっているか」の設問に対する回答を基に作成。4.中小企業金融支援にかかる期待財務総研の職員は、2023年11月の創業支援セミナー運営に係る出張の際、経済財政省のPhan Phalla長官(兼SME Bank会長)と面談を行いました。Phan Phalla長官からは、財務総研や日本公庫に対する支援への謝意とともに、以下のとおり、足元の中小企業支援政策の動向や本支援に対する期待についての言及がありました。➢ 中小企業支援政策として、2023年11月の官民合同会議*16において、観光業を対象に5千万米ドル規模の直接融資(Direct Credit Scheme)によるSME Bankの融資枠の拡充が発表された。➢ SME Bankの優先課題は、業務量増加に対応するための人材育成及び業務効率改善である。日本による中小企業金融支援は、まさに本課題解決に直結するため、経済財政省としても期待度が非常に高い。また、財務総研の職員は、本支援の現地でのプレゼンスを向上させるため、創業支援セミナーの開催に際し、現地メディアの取材に対応しました。現地メディアに対してセミナーの冒頭挨拶及び講義の一部を公開し、質疑応答も行ったところ、本支援の意義等について多くの質問が寄せられました。その結果、現地の新聞社2社で記事として取り上げられ、本支援の概要や趣旨がカンボジア国内で周知されるに至りました。3. 創業支援セミナー 70 ファイナンス 2024 May
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