FOREIGNFOREIGNWATCHERWATCHER*1) 本寄稿の意見は全て筆者の個人的見解であり、財務省、外務省・在インドネシア日本国大使館の見解を示すものではありません。また、本寄稿の情報*2) インドネシアの国旗は1945年の独立時に制定され、白色は「潔白」、赤色は「勇気」をそれぞれ表し、この2色を組み合わせた国旗は「潔白の上に立は執筆した2024年3月時点のものであることをご了承ください。つ勇気」を意味しています。Selamat siang.(インドネシア語で「こんにちは」)財務省から外務省・在インドネシア日本国大使館に出向している仲井玄暦と申します。*1突然ですが、皆様は「インドネシアについて話して」と言われたら、何を話すでしょうか。観光地として有名なバリ島、ナシゴレン等のインドネシア料理、赤白の国旗*2等が思い浮かぶものの、「インドネシア」という国をそこまでよく分からない方も多いかと思います。かくいう私も2021年8月末の赴任当初はほとんど知識のないまま、初の海外駐在で不安と期待が混じり合いながらインドネシア生活をスタートさせました。インドネシアは、3年弱では到底理解しきれないほど深遠な(奇天烈な?)国ですが、今回、ファイナンスへの寄稿という貴重な機会を頂戴しましたので、この国の特徴や歴史、日本との関係性の一部をご紹介しつつ、今年2月に実施された「世界最大の直接選挙」である大統領選挙の機会を捉まえて、ジョコ・ウィドド現大統領の10年間を概観してみたいと思います。まず基本的な事項をおさらいしていくと、インドネシアの国土は、南北に約1,900km、東西に約5,100kmにわたり、その面積は約192万km2と日本の約5倍もあります。首都ジャカルタのあるジャワ島を始めとし、スマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ島、ニューギニア島の5つの大きな島とその他の多くの群島から構成され、インドネシア政府の公式発表によるとその数は13,000以上にのぼります。総人口は約2.7億人(2022年6月時点。日本の約2倍)で、中国、インド、米国に次ぐ世界第4位であり、いまでも毎年3百万人近く増加しています。世界一高齢化が進んでいる国と言われる日本の平均年齢が約49歳であるのに対し、インドネシアは平均約29歳と非常に若く、街が活気に溢れているのを肌で感じることができます。また、インドネシアの15歳から64歳までの生産年齢人口は2030年までピークが持続すると推計されており、英フィナンシャル・タイムズ紙が“overlooked giant”(見過ごされてきた巨人)と評したように、高い成長ポテンシャルが期待されています。さらに詳細に見ると、民族的には、東部・中部ジャワに居住するジャワ人(総人口の約40%。謙虚で控えめな性格である一方、忍耐強さも併せ持つ。)、西ジャワに居住するスンダ人(同約15%。明るく、楽天的・社交的な性格。信仰に厳格な人が多い。)、スマトラ北部に居住するバタック人(同約3%。お世辞を嫌い白黒はっきり主張する傾向。積極的で交渉事が得意。)のほか、約300の民族が暮らしている多民族国家です。そして、異なる背景を持つ民族同士が円滑にコミュニケーションを取るために海上交易で広く使われていたマレー語に由来するインドネシア語(Bahasa 1 1 インドネシアとはどんな国?(1)多様性と活気■れるインドネシア 60 ファイナンス 2024 May海外ウォッチャー見過ごされてきた大国インドネシアのこれまでとこれから在インドネシア日本国大使館 二等書記官 仲井 玄暦*1
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