ファイナンス 2024年5月号 No.702
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理財局国債企画課長 佐藤 伸樹/理財局国債企画課課長補佐 朝倉 赳 理財局国債業務課課長補佐 伊藤 鉄平/理財局国債企画課 安部 正浩1.GX経済移行債発行の経緯日本で、2050年カーボンニュートラル実現の国際公約と、産業競争力強化・経済成長を同時に実現していくためには、今後10年間で150兆円を超える官民のGX(グリーン・トランスフォーメーション)投資が必要であるとされている。こうした巨額のGX投資の実現に向け、国として長期・複数年度にわたり投資促進策を講ずるために、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(以下、GX推進法)に基づき、20兆円規模の「脱炭素成長型経済構造移行債」(以下、GX経済移行債)を発行することになった。(その発行は、令和5年度以降10年間、毎年度国会の議決を経た金額の範囲内で行われる。)したGX推進法に規定されている(図表1参照)。その償還については、令和32年度(2050年度)までに、事業者への「化石燃料賦課金」・「特定事業者負担金」によって行われることが明記されており、いわゆる「つなぎ国債」の一つとなる。その制度設計の詳細については、法律の施行後2年以内、すなわち令和7年6月末までに必要な法制上の措置を行うことがGX推進法で定められている。2.GX経済移行債の法的位置づけGX経済移行債の発行根拠は、令和5年5月に成立 2 ファイナンス 2024 MayGX投資を支援する仕組みを創設GX投資を支援する仕組みを創設GX経済移行債特集GX経済移行債特集特集特集

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