ファイナンス 2024年5月号 No.702
52/88

*8) 下記を参照。 https://www.mof.go.jp/jgbs/summary/kokusai.html図表7 エネルギー対策特別会計の仕組み(出所)財務省「特別会計ガイドブック」関連法案でもあるので、主計局ももちろんチェックしていますけど、法律を実際に国会に提出して国会審議で答弁をするのは主として経産省になります。服部 先ほど借換債の話をしましたが、GX経済移行債の償還にも借換債が関係してくるのでしょうか。齋藤 令和4年度(2022年度)の第二次補正予算で、GX関連を先行的に措置したときには、統合発行か個別発行かという整理の前に、そもそも、GX経済移行債発行の法的根拠(GX推進法)がありませんでした。このため、その時点では、GX関連の予算は一般会計の歳出予算の一部となっており、その財源としてはお金に色はないとはいえ、特例公債が充てられていたと考えられます。GX推進法を立法する時点で、令和4年度(2022年度)二次補正段階での歳出権限や、その財源となった公債の(償還)負担を、一般会計からエネ特に引き継がせる措置が講じられることになり、GX推進法の附則第2条で経過措置としてその旨が規定されています。当該規定にある約1.1兆円という金額が、トランジションボンドとして発行される国債のうち借換債としての発行額になる額で、令和4年度(2022年度)に短期債でつないでいたもののロールオーバーです。財政投融資特別会計服部 財務省のウェブサイトでは、国債について「普通国債」と「財政投融資特別会計国債(財投債)」という分類がなされています*8。普通国債は主に税財源今度新しく発行されるトランジション国債については、今年度(令和5年度)の発行額は1.6兆円(5年債・10年債各0.8兆円ずつ)ですが、このうち0.5兆円(令和5年度(2023年度)当初予算時の根拠法別発行計画でGX経済移行債とされていた額)はエネ特のエネルギー需給勘定の歳入となるのに対し、1.1兆円は借換債として整理基金特会の歳入となり、令和4年度(2022年度)第二次補正対応で発行された(と整理される)短期国債の償還に充てられる、というのが正確なお金の流れになります。大まかな考え方としては、GX経済移行債イコールGXのための支出に充てられるクライメート・トランジションボンドと考えても良いのですが、法律的に細かくいうと、GX経済移行債は新規にエネ特の歳入として発行される部分だけで、その借換債まで含めてトランジションボンドとして発行され得るということは一応押さえておいた方がよいかもしれません。 48 ファイナンス 2024 Mayÿ ÿ

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る